治療薬Q&A~フィンゴリモド塩酸塩|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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トップページ > 治療薬Q&A~フィンゴリモド塩酸塩

フィンゴリモド塩酸塩

avx2011年11月28日、経口の再発予防薬「フィンゴリモド塩酸塩(イムセラ®、ジレニア®)」が発売されました。1日1回、1カプセルを服用します。この薬は2010年9月22日に米国で最初に承認されています。
長期安全性も含めた情報の蓄積はこれからです。

 

このページでは、この薬についてQ&Aで解説しています。

 

【フィンゴリモドに関するニュース】
2016/06/17「フィンゴリモド内服中にPML発症(国内2例目)」
2016/05/19「フィンゴリモド内服中に真菌感染症で死亡(国内)」
2016/05/15「フィンゴリモド内服中にPML発症(国内)」
2013/11/28「フィンゴリモドと悪性リンパ腫について」

新規公開:2012年2月2日  更新:2016年6月17日

文:MSキャビン編集委員(大橋高志、越智博文、近藤誉之、中島一郎、新野正明、宮本勝一、中田郷子)

全体的なことを教えてください。
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フィンゴリモドとは何ですか?全体的なことを教えてください。

フィンゴリモドは、再発寛解型MSに対する経口の再発予防薬です。漢方薬として有名な「冬虫夏草」というキノコの菌成分の化学構造を元に合成されました。日本では「イムセラ®(田辺三菱製薬株式会社)」と「ジレニア®(ノバルティスファーマ株式会社)」という2つの商品名で発売されています。どちらも全く同じ薬です。

なぜMSに効くのですか?全体的なことを教えてください。

MSは、リンパ球が血液脳関門を超えて中枢神経系に入っていくことで起こる病気です。フィンゴリモドはリンパ球がリンパ節・脾臓などのリンパ組織から出て行くのを抑えます。すると体内を循環するリンパ球の数、そして中枢神経系に入っていくリンパ球の数も減り、MSの再発が抑えられるというわけです。

どのように使いますか?全体的なことを教えてください。

フィンゴリモドはカプセル剤で、1日1回、水かぬるま湯で飲みます。飲む時間に決まりはありません。1つのカプセルにはフィンゴリモドが0.5mg入っています。

MSにどのような効果があるのですか?全体的なことを教えてください。

国内の臨床試験において偽薬と比べて約50%、年間再発率を減らしたことが示されました。また使用後3ヶ月後と6ヶ月後のMRI造影病巣が認められなかった人が70%だったこともわかりました。また欧米の臨床試験においてフィンゴリモドは、インターフェロンベータ-1aよりもMSの再発率・MRIの造影病巣数を減らしたことが示されました。

 

偽薬と比較した試験では、身体障害の進行を抑えたことも認められています。

継続すればMSが完治しますか?全体的なことを教えてください。

フィンゴリモドを飲んでもMSは完治しません。現在、MSを完治させる薬は存在しません。

どのくらいの期間使いますか?全体的なことを教えてください。

使用期間は決められていません。フィンゴリモドは今後の再発を予防する薬です。この薬を始めて病状が安定し、副作用に問題がなければ、続けたほうが良いといえます。

治療(NMOSD)
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どんな副作用がありますか?治療(NMOSD)

様々な副作用が報告されていますが、注意が必要な副作用は循環器に関するもの、感染症、黄斑浮腫、過度の白血球•リンパ球減少、肝機能障害です。フィンゴリモドには様々な臓器への作用が考えられるので、何かおかしいと感じたら主治医に伝えてください。

循環器系への影響について教えてください。治療(NMOSD)

薬を飲み始めてから数日間にわたって脈拍数の低下(徐脈)や心電図異常がみられることがあります。特に服用開始間もない頃には脈拍数が低下することがほとんどなので、初回服用時は循環器専門医との連携があるなど適切に処置できる体制下にあることが求められています。

 

初回服用6時間までは毎時、脈拍数と血圧を測定、初回服用6時間後には心電図を測定するなど、心機能の綿密な観察が必要です。また初回投与後24時間は連続的に心電図をモニターすることが望ましいとされています。突然死のリスクも示唆されているので初回服用時は、最低でも1泊は入院して経過を診てもらったほうが望ましいでしょう。

感染症について教えてください。治療(NMOSD)

海外の臨床試験では、フィンゴリモドを使用している人としていない人とで感染症の頻度に明らかな差は認められていません。しかしフィンゴリモドを服用すると体内を循環するリンパ球の数が減るため、感染症にかかりやすくなると考えられます。水痘•帯状疱疹、単純ヘルペス、真菌感染症、PML(進行性多巣性白質脳症)などには注意が必要です。

 

国内外で実際、フィンゴリモド内服中に感染症で亡くなった人がいます。そのほとんどは、水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、真菌に関連しています。

 

帯状疱疹については、年齢にもよりますが一般の発症頻度は1,000人あたり約5人程度です。これに対してフィンゴリモドを服用すると、一般と比較して約2〜3倍、フィンゴリモドを服用していないMS患者と比較して約2倍、帯状疱疹発症のリスクが高くなるといわれています。

 

真菌感染症のひとつであるクリプトコッカス感染症については国内で2例報告されていて、そのうち亡くなった1例は定期ステロイドパルス療法を併用していました。

 

また国内でフィンゴリモド服用中に血球貪食症候群という感染症で亡くなった方がいますが、全身性ヘルペスウイルス感染だったことがわかっています。海外で報告されたもう1人の血球貪食症候群はEBウイルス感染を背景としていました。

 

一方、国内では2名、フィンゴリモド服用中に悪性リンパ腫を発症した報告がありますが、そのうち亡くなった1人は、EBウイルス感染が背景にあります。また国内で3名、フィンゴリモド服用中にヒトパピローマウイルスが関与する子宮頚がんを発症した報告があります。


また国内で2名、フィンゴリモド服用中にPMLを発症した報告があります。

黄斑浮腫について教えてください。治療(NMOSD)

フィンゴリモド服用中に、放置すれば視力を失う可能性がある黄斑浮腫を発症する恐れがあります。視力や視野の異常があったら主治医に伝えてください。初期の黄斑浮腫は症状が出ないことがあるので、何も症状がなくてもフィンゴリモド服用3〜4ヶ月後には眼科の検査を受けることがすすめられています。

 

特に糖尿病やぶどう膜炎の人は黄斑浮腫のリスクが高いと言われています。リスクに応じて定期的に眼科で検査を受けることが必要です。また無症状の黄斑浮腫をすでに発症していないかどうかを調べるため、フィンゴリモド開始前にも眼科で検査を受けておくことをおすすめします。

過度の白血球•リンパ球減少、肝機能障害治療(NMOSD)

フィンゴリモド服用中は定期的に血液検査(リンパ球数、肝機能など)をします。白血球やリンパ球減少が問題になる場合、服用頻度を減らすことがあります(編集委員の見解)。

かえって悪化することはありませんか?治療(NMOSD)

フィンゴリモドは再発寛解型MSの人に使われますが、全ての人に効果があるわけではありません。治療前に比べて病状が変わらない場合、また大きな再発を起こしたり再発回数が増えたりなど悪化するような場合は、フィンゴリモドが合っていないかもしれません。

受診(MS/NMOSD)
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どのような人に良い薬ですか?受診(MS/NMOSD)

フィンゴリモドの適応症は「MSの再発予防及び身体的障害の進行抑制」です。通常はABC(アボネックス®、ベタフェロン®、コパキソン®)のいずれかをしても効果が得られない人、副作用でABCを継続できない人に使われますが、再発回数が多い人やMRI病巣の変化が激しいような人には最初から使われることがあります。

進行型のMSにも効きますか?受診(MS/NMOSD)

フィンゴリモドは海外でも再発寛解型MSに対して使われており、進行型MSに対する安全性と効果は不明です。

 

海外の一次性進行型MSヘの治験ではMRI上での効果はあったものの、障害の進行抑制効果は示されませんでした。二次性進行型MSについては海外でも治験はしていませんが、進行しながらも再発する人やMRI病巣の変化があるような人には有効である可能性があります。

小児MSにも効きますか?受診(MS/NMOSD)

国内の臨床試験に参加したのは18〜60歳で、小児への安全性・効果は不明です。添付文書には「通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する」「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない」と記載されています。

視神経脊髄炎(NMO)にも効きますか?受診(MS/NMOSD)

日本の臨床試験では、抗アクアポリン4抗体陽性の人が4人参加していて、フィンゴリモドを服用したことで病状が悪化、また副作用が強く出ました。抗アクアポリン4抗体陽性の人は決してフィンゴリモドを使わないでください。

素朴な疑問です。
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安全な薬なのでしょうか?素朴な疑問です。

「飲み薬だから安全」というイメージがあるようですが、これは適切ではありません。前述のようにフィンゴリモドには観察すべき副作用が報告されています。効果が高く服用しやすいからという理由だけで使い始め、その後の副作用管理をおろそかにすれば怖い薬になり得ます。主治医も患者さんも、起こる可能性がある副作用を理解・想定して使うことが必要です。

医療費はどうなりますか?素朴な疑問です。

フィンゴリモドはMSの治療薬として承認されているため、指定難病の条件を満たせば医療費助成が受けられます。詳しくは「医療費助成について」をご覧ください。

服用時間・保管の仕方
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時間を決めて服用すべきですか?服用時間・保管の仕方

フィンゴリモドを飲む時間に決まりはありません。しかし飲み忘れを防止するため、飲む時間を決めておくと良いでしょう。

どのように保管すれば良いですか?服用時間・保管の仕方

フィンゴリモドは常温で保存できます(25度以下)。高温は避けたほうが良いでしょう。

持ち運び・旅行に行く時の注意点はありますか?服用時間・保管の仕方

冷蔵保存が推奨されているものの、フィンゴリモドは常温で保存できるので、移動時に保冷剤を使う必要はありません。

 

フィンゴリモドは空港のX線検査を通過できます。貨物室の環境を考え、手荷物で機内に持ち込むようにしてください。海外旅行に行く際は、英文の診断書と薬剤証明書を携帯することをおすすめします。早めに主治医に相談してください。

飲み方を間違えてしまいました。
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飲み忘れてしまいました。飲み方を間違えてしまいました。

1日飲み忘れても大きな影響はないので翌日から飲んでください。

1日2カプセル飲んでしまいました。飲み方を間違えてしまいました。

飲み間違い・飲み忘れを防ぐためにも「朝食後」など時間を決めて服用することをおすすめします。販売会社から発行されている服用管理手帳も活用してください。

他の治療・予防接種について
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ほかの薬を併用しても大丈夫ですか?他の治療・予防接種について

フィンゴリモドには免疫を抑える作用があるため、経口ステロイド薬(プレドニゾロン®、プレドニン®など)•免疫抑制薬(イムラン®、アザニン®、プログラフ®など)との併用はおすすめできません。

 

また麻疹ワクチン、風疹ワクチン、水痘ワクチン、ポリオワクチン、BCGなどの生ワクチンを接種すると、ワクチンの病原体が体内で増殖する可能性があります。生ワクチンの予防接種は避けてください。

 

また、フィンゴリモドは脈拍数に影響を与えるため、キニジン(硫酸キニジン®)、プロカインアミド(アミサリン®)、アミオダロン(アンカロン®)、ソタロール(ソタコール®)など、一部の抗不整脈薬との併用は禁止されています。

 

このほか、併用に注意が必要な薬剤があります。フィンゴリモド開始にあたっては、神経内科以外で処方されているものも含めて、現在服用中の薬剤名を全て、主治医に伝えてください。

 

市販薬、サプリメントについては併用禁止にはなっていませんが、安全だという保障もありません。服用については主治医とご相談ください。

インフルエンザの予防接種は?他の治療・予防接種について

インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは併用禁止にはなっていません。むしろMSの人にインフルエンザ予防接種は推奨されています。しかしフィンゴリモド内服中はワクチンの効果が不十分なことがあります。

再発したらステロイドパルス療法を受けても良い?他の治療・予防接種について

フィンゴリモド服用中のステロイドパルス療法は禁止されていません。再発と考える場合には、PMLなどほかの脳の病気との鑑別を慎重にした上でステロイドパルスを行うことがあります。ただ帯状疱疹や重症感染症のリスクが高くなるため、ステロイド薬の使用は最小限に留めるべきであり、再発時のステロイドパルス療法も注意しておこなう必要があります。

子どもがほしいのですが?
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妊娠・出産に影響ありますか?子どもがほしいのですが?

フィンゴリモドの使用経験により、妊娠・出産できなくなることはありません。しかし動物実験と同様の重篤な先天性奇形がヒトでも報告されています。服用中は避妊を徹底してください。


薬が体内に残る期間は最長で2ヶ月間あるので、服用中だけではなく治療を止めても最低2ヶ月は避妊を徹底してください。


フィンゴリモドを服用しているのが男性の場合、妊娠・胎児への影響については結論付けられていません。現在のところ、男性へのフィンゴリモドの投与制限はないのが一般的です。


出産後、いつ再開したら良いでしょうか?子どもがほしいのですが?

一般的には出産後にMSの再発率が上昇するので、なるべく早めに再開することがすすめられています。できれば初乳が済んだら再開するのが望ましいとされていますが、母親やご家族の気持ちもあります。妊娠前・その時点での病状も含めて、主治医とご相談ください。

授乳と薬剤の関係について、教えてください。子どもがほしいのですが?

授乳中はフィンゴリモドを服用できません。

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