治療薬Q&A~グラチラマー酢酸塩・コパキソン|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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トップページ > 治療薬Q&A~グラチラマー酢酸塩

グラチラマー酢酸塩(コパキソン®)

avx2015年11月26日、MSの再発予防薬「グラチラマー酢酸塩(コパキソン®)」が発売されました。1日1回、皮下注射します。この薬はインターフェロン・ベータと共に長い歴史があり、この薬を使った治療はインターフェロン・ベータと合わせて「ABC療法」と呼ばれています。
(A:アボネックス®、B:ベタフェロン®、C:コパキソン®)

 

このページでは、この薬についてQ&Aで解説しています。

新規公開:2016年5月27日  更新:2016年11月2日(副作用が出たらどうしたら良いですか?)

文:MSキャビン編集委員(大橋高志、越智博文、近藤誉之、新野正明、宮本勝一、中田郷子)

全体的なことを教えてください。
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コパキソン®とは何ですか?全体的なことを教えてください。

コパキソン®は再発寛解型MSに対する再発予防薬です。MSに対する作用機序はよくわかっていないのですが、免疫のバランスを整えることでMSの活動性が高まらないように作用していると考えられています。

 

米国で1996年、英国で2000年に承認され、現在では世界50カ国以上で使われています。日本では導入間もないものの、世界的にみると長年の経験が蓄積されている薬です。

どのように使いますか?全体的なことを教えてください。

毎日、自分でお腹、脇腹、腕、太ももの皮下に注射します。自分で注射できない場合はご家族に打ってもらうこともできます。

MSにどのような効果があるのですか?全体的なことを教えてください。

国内外の臨床試験では、MSの再発回数を減らしたり、再発した時の症状を軽くしたりする効果が示されています。またMRI検査で確認できる病巣の拡大や新しい病巣の出現を減らす作用もあります。海外の臨床試験ではMSの再発をおよそ30%抑えたことが示されています。

継続すればMSが完治しますか?全体的なことを教えてください。

コパキソン®を使ってもMSは完治しません。現在、MSを完治させる薬は存在しません。

どのくらいの期間使いますか?全体的なことを教えてください。

使用期間は決められていません。コパキソン®は今後の再発を予防する薬です。この薬を始めて病状が安定し、副作用に問題がなければ、続けたほうが良いといえます。

全てのMSに効きますか?
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進行型のMSにも効きますか?全てのMSに効きますか?

コパキソン®の適応症は「多発性硬化症の再発予防」です。海外でも再発寛解型MSに対して使われており、進行型MSに対する安全性と効果は不明です。

小児MSにも効きますか?全てのMSに効きますか?

添付文書には「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない」と記載されています。

視神経脊髄炎(NMO)にも効きますか?全てのMSに効きますか?

NMOの再発予防としてはステロイド薬と免疫抑制剤が主流になっており、さらに現在、NMOに対する他の薬剤の治験もおこなわれています。このことからNMOに対して有効性・安全性が確立しているとはいえないコパキソン®を選択するのは現実的ではなさそうです。

かえって悪化することはありませんか?全てのMSに効きますか?

コパキソン®は再発寛解型MSの人に使われますが、全ての人に効果があるわけではありません。治療前に比べて病状が変わらない場合、また大きな再発を起こしたり再発回数が増えたりなど悪化するような場合は、コパキソン®が合っていないかもしれません。

具合が悪くなることはないのですか?
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どんな副作用がありますか?具合が悪くなることはないのですか?

主な副作用は、注射部位の発赤・痛み・かゆみ・腫れ・しこりなどの「注射部位反応」、注射後数分以内に起こる顔面紅潮、胸痛、息苦しさ、動悸・頻脈などの「注射直後反応」、発赤・じんましん・喉のかゆみ・けいれん・失神などの「過敏症反応」です。 悪寒や発熱などのインフルエンザ様症状が出ることもあります。


海外情報からは当初、コパキソン®は副作用が少ないと期待されていましたが、必ずしもそうとはいえないようです。

副作用が出たらどうしたら良いですか?具合が悪くなることはないのですか?

副作用の多くは対処できます。注射部位反応に対しては手技を確認し、注射するところを毎回変えます。

 

以下、編集委員の経験ですが、注射直後反応に対しては注射頻度を2〜3回/週にして、徐々に頻度を増やしていくのもひとつの対処です。また注射前に暖めたり注射後に冷やしたりすることも試して良いかと思われます。

 

また注射後にロキソニンテープ® などの湿布薬が効く人もいます。強い反応がある場合はステロイド軟膏が効くかもしれません。

 

注射部位のかゆみには抗ヒスタミン薬が効く可能性があります。抗ヒスタミン薬には軟膏薬と内服薬があり、全身のかゆみが出る場合は内服のほうが良いでしょう。

素朴な疑問です。
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始める時は入院するのですか?素朴な疑問です。
特に入院は必要とされていませんが、注射の仕方や副作用の管理について、主治医や看護師さん・薬剤師さんから充分に説明を受けてください。また注射直後反応が現れることがあるので、初回投与時は投与後少なくとも30分は病院で様子を見ることがすすめられています。
医療費はどうなりますか?素朴な疑問です。

コパキソン®はMSの治療薬として承認されているため、指定難病の条件を満たせば医療費助成が受けられます。詳しくは「医療費助成について」をご覧ください。

注射部位・注射時間・保管の仕方
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どこに注射しますか?注射部位・注射時間・保管の仕方

1日に1回、お腹、脇腹、腕、太ももなど、皮下脂肪が厚くて柔らかい部分に注射します。注射部位反応を防ぐため、毎回、部位を変えます。針は29ゲージというサイズで細く、注射の深さは、筋肉に到達しない皮下の部分です。

毎回同じ時間に注射しないといけませんか?注射部位・注射時間・保管の仕方

販売会社の資料では「原則として24時間あけるように」となっていますが、少々時間が変わっても問題ありません(編集委員の見解)。

注射後、すぐにお風呂に入れますか?注射部位・注射時間・保管の仕方

注射直後に入浴する際は、注射部位をゴシゴシこすらないようにしましょう。

どのように保管したら良いですか?注射部位・注射時間・保管の仕方

コパキソン®は冷蔵保存がすすめられているため、箱に入れたまま凍らないように冷蔵庫に入れます。注射の際は室温に戻すため、注射の20~30分前には冷蔵庫から出しておきます。冷たいまま注射すると注射部位反応が強く出る恐れがあります。

持ち運び・旅行に行く時の注意点は?注射部位・注射時間・保管の仕方

コパキソン®は2~8℃の冷蔵保存が原則なので、持ち運ぶ際には温度が上がり過ぎないように保冷剤や保冷バッグを使いましょう。凍らせてもいけないので、保冷剤をハンカチなどで包むと良いでしょう。

 

コパキソン®は空港のX線検査を通過できます。貨物室の環境を考え、機内に持ち込んでください。手荷物検査で針を持参していることを伝えましょう。航空会社では注射器を機内に持ち込む場合は、予約の時点で伝えることをすすめています。航空会社によっては、冷蔵保存が必要なことを伝えておくと、機内で氷を用意してくれるところもあります。

 

海外旅行に行く際は、英文の診断書と薬剤証明書を携帯することをおすすめします。書類作成にはある程度の時間が必要なので、早めに主治医に相談してください。

生活に与える影響はありますか?
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生活リズムが変わることはありますか?生活に与える影響はありますか?

コパキソン®はインターフェロン・ベータと比べて副作用が少ないといわれているため、この薬を始めて生活リズムが変わることは考えづらいです。副作用は通常、徐々に治まってきます。

仕事は続けられますか?生活に与える影響はありますか?

続けられます。

食事制限はありますか? お酒は?生活に与える影響はありますか?

コパキソン®治療中は、食事・飲酒に制限はありません。

プール・温泉には入れますか?生活に与える影響はありますか?

注射部位の感染予防のため、注射直後にプールや温泉に入ることはおすすめできませんが、注射後数時間が経過している場合は制限ありません。

注射部位を日に当てて大丈夫ですか?生活に与える影響はありますか?

注射部位を日光に当ててはいけないことはありません。しかし皮膚が真っ赤になるような過度の日焼けはMSに良くないこと、また注射部位を大切に保護するという観点から、強い日光を浴びるような場合は、日焼け止めクリームや日傘を使うなど紫外線対策をおこなってください。

他の治療・予防接種について
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ほかの薬を併用しても大丈夫ですか?他の治療・予防接種について

コパキソン®との併用が禁止されている薬剤はありません。

インフルエンザの予防接種は?他の治療・予防接種について

インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは併用禁止にはなっていません。むしろMSの人にインフルエンザ予防接種は推奨されています。ただ、たとえばインフルエンザの予防接種後に倦怠感や発熱、頭痛などが起きることがあるので、予防接種を受けた日はコパキソン®を休んだほうが、患者さんの気持ちの面でも安心できるかと思われます(編集委員の見解)。

再発時のステロイドパルス療法は?他の治療・予防接種について

コパキソン®の治療中に再発した場合はMS再発時の通常の治療をおこないます。ステロイドパルス療法中にコパキソン®を注射するかどうかについて決まりはありませんが、ステロイドパルス療法コパキソン®を併用すると注射部位反応が出やすくなるという報告があります。機序は不明です。

注射がだんだん難しくなってきました。
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注射が痛いので困っています。注射がだんだん難しくなってきました。

ダイアリーを活用し、あちこちに注射するようにしてください。また針の深さを変えてみたり痛み止めを飲んでみたりするのもひとつの方法です。注射前に深呼吸を数回し、息を吐く時に合わせて注射するのも良いでしょう。

どうしても今日は注射したくありません。注射がだんだん難しくなってきました。

音楽をかけたり、好きな香りのお香を焚いたり、家族や友達に励ましてもらうのも効果的です。

子どもがほしいのですが?
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妊娠・出産に影響ありますか?子どもがほしいのですが?

コパキソン®の使用経験により、妊娠・出産できなくなることはありません。

 

妊娠に対する薬剤の危険性について、米国FDAでは全ての薬剤を5つに分類しています。最も危険性が低い薬剤が分類A、次に危険性が低い薬剤が分類B、そしてC、Dと続き、最も危険性が高い薬剤は分類Xです。

 

コパキソン®は分類Bです。その他のMSの予防薬が全て分類Cなので妊娠への影響は比較的少ないといえますが、妊娠中の投与に関する安全性は確立していないことと、そもそも妊娠中はMSが安定する傾向にあることを考慮し、妊娠がわかったらコパキソン®は中止するのが原則です。

 

添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書かれています。

出産後、いつ再開したら良いでしょうか?子どもがほしいのですが?
一般的には出産後にMSの再発率が上昇するので、なるべく早めに再開することがすすめられています。できれば初乳が済んだら再開するのが望ましいとされていますが、母親やご家族の気持ちもあります。妊娠前・その時点での病状も含めて、主治医とご相談ください。
授乳と薬剤の関係について教えてください。子どもがほしいのですが?

授乳中はコパキソン®を服用できません。

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