このホームページでは「多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS )」の情報を提供しています。

 




多発性硬化症のあらまし(治療)


MSの治療は「急性期の炎症を抑えること」「再発・進行を抑えること」「症状をやわらげること」の3つに分けられます。残念ながら、MSの根治療法はありません。



(1)急性期の治療

副腎皮質ステロイド薬を使って、脱髄部の炎症を抑えます。副腎皮質ステロイドは人間の体内で作られるホルモンで、炎症を抑える作用があります。

ステロイド薬には、点滴用剤と経口用剤があります。急性期には点滴用のステロイドを大量に投与します。普通、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(ソル・メドロール®)500〜1,000mg/日を3〜5日間、点滴します。その後、4〜2日間様子をみて、これを1クールとします。この方法を「ステロイド・パルス療法」といい、MSでは通常、パルス療法を1〜2クールおこないます。

パルス療法の後は、経口のステロイド薬に切り替えます。普通、プレドニゾロン(プレドニン®)が使われます。プレドニンは体重1kg=1mgの量ではじめ、数週間かけて少しずつ減らしていきます。このように薬を少しずつ減らしていくことを「テーパリング」といいます。

ステロイド薬の使用量や種類、どのくらいの期間投与するかについては、様々な意見があり、経過やその時の症状によっても違ってきます。

副腎皮質ステロイド薬には、感染しやすくなる、消化器潰瘍ができやすくなる、食欲が出る、顔が丸くなる、肥満、糖尿、骨粗鬆症、イライラする、気分が滅入るなど、多くの副作用があります。手洗いやうがいをしっかりして、ストレスを避け、肥満に対してはカロリー制限をするなどして注意してください。通常、消化器潰瘍予防の薬、カルシウム剤などが処方されます。

ステロイド薬が効かない場合の別の手段としては、血漿交換療法、血液浄化療法や免疫グロブリン療法などがあります。



(2)再発・進行を抑える治療

インターフェロン・ベータ

インターフェロンは人間の体内で作られるタンパクで、ウイルスに抵抗する性質から抗ウイルス剤として、また、細胞の増殖を抑える性質から抗がん剤として、様々な病気に対して使われています。インターフェロン製剤には、天然のものと遺伝子を組み換えたものがあります。

MSでは、遺伝子組み換え型のインターフェロン・ベータに再発抑制の効果が認められています。MSの発症に関わるリンパ球に作用すると考えられています。インターフェロン・ベータ1b(ベタフェロン®)と、インターフェロン・ベータ1a(アボネックス®)があります。

インターフェロン・ベータ1b
(ベタフェロン®)
用 法:1回 / 2日の皮下注射
効 果:再発予防、進行抑制
副作用:感冒様症状(発熱、頭痛、筋肉痛、寒気)、注射部位反応(発赤、炎症)
インターフェロン・ベータ1a
(アボネックス®)
用 法:1回 / 1週の筋肉注射
効 果:再発予防、身体障害の進行遅延
副作用:感冒様症状(発熱、頭痛、筋肉痛、寒気)


免疫抑制剤

アザチオプリン(イムラン®、アザニン®)、シクロホスファミド(エンドキサン®)、メトトレキサート(メソトレキセート®)などが使われることがあります。免疫抑制剤はMSに関係あるとされている細胞だけではなく、免疫系の細胞全部を抑えてしまうため、異物から体を守るという免疫本来の働きも失われます。副作用には、感染しやすくなる、出血しやすくなる、脱毛、貧血、胃腸障害、肝機能障害、腎機能障害などがあります。



(3)対症療法(症状を和らげる治療)

次の症状は薬である程度軽減できます。主治医に相談してください。

つっぱり

バクロフェン(リオレサール®、ギャバロン®)、チザニジン(テルネリン®)、ダントロレン(ダントリウム®)、ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)、塩酸エペリゾン(ミオナール®)など

痛 み

カルバマゼピン(テグレトール®)、ガバペンチン(ガバペン®)、フェニトイン(アレビアチン®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)、塩酸アミトリプチン(トリプタノール®)、塩酸イミプラミン(トフラニール®)、塩酸メキシレチン(メキシチール®)など

排尿障害

臭化ジスチグミン(ウブレチド®)、塩酸フラボキサート(ブラダロン®)、オキシブチニン(ポラキス®)など

疲 労

アマンタジン(シンメトレル®)、ペモリン(ベタナミン®)、塩酸パロキセチン(パキシル®)など

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