MS・NMOのこと~妊娠とMS|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

MS CABIN

多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)と視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica; NMO)の情報を提供しています。
独立性を強く守るため製薬企業からは寄附をいただいていません。

トップページ
ms nmo のこと
すぐわかるMS
MSのあらまし
NMOのあらまし
小児MS
妊婦とMS
治療薬
インターフェロン・ベータ1b(ベタフェロン)
インターフェロン・ベータ1a(アポネックス)
フィンゴリモド(イムセラ、ジレニア)
ナタリズマブ(タイサブリ)
ナタリズマブ(タイサブリ)
お知らせ
ニュース
セミナー・講演会
発行物のご案内
薬について
各種募集
インフォメーション
団体概要
利用注意事項
個人情報の取扱い
リンク集
患者会
お問い合わせ
ブログ
中田郷子のブログ
近藤誉之のブログ
マダミーのブログ
ご寄付について
ms cabin twitter
QRコード

携帯サイトはQRコード、または
http://www.mscabin.org/
でアクセスできます。

トップページ > 妊娠とMS

妊娠とMS

妊娠・出産の経験がMSに悪影響を及ぼしますか?

baby妊娠・出産の経験がMSに悪影響を及ぼすことはありません。むしろ、妊娠・出産の経験と、新しい家族が増えることが、精神的に良い影響を及ぼすと思います。


MSを発症してから、妊娠・出産した人はいますか?

preg04もちろんいらっしゃいます。まず「妊娠・出産はMSにとって悪いことではない」と知っていただきたいと思います。MSではむしろ、妊娠中はいろいろな免疫作用が働いて、再発が減少することが証明されています。

 

注意しなくてはならないのは(1)病気を安定させること。(2)治療薬のうち、妊娠に備えて中止しなくてはいけない薬があるので、薬を継続する場合には、欠点と利点を充分理解すること。(3)出産後3〜6か月に再発しやすい傾向があること。(4)家族のサポート体制を整えておくこと。(5)不安・心配なことは主治医や医療スタッフに遠慮なく質問することです。

 

妊娠・出産の経験は、きっと自信となり、新しい家族が増えることが、病気と付き合う励みになることと思います。


子どもにMSが遺伝しますか?

MSは遺伝病ではないので、遺伝しません。親、兄弟にMSの人がいる場合は「なりやすさ」はありますが、確率は1〜5%と非常に低いです。


過去の治療経験が、子どもに影響を与えないでしょうか?

治療薬が妊娠前に中止になっていれば問題はないと思いますが、万が一妊娠時に治療薬を継続していた場合には、薬の種類によっては影響が出てくる可能性があります。


妊娠中に再発したら、どのような治療ができますか?

preg03妊娠過敏期といわれる2〜4ヶ月は、胎児の外形と臓器が作られる時期です。この時期は薬の影響が出やすいため、その使用は特に慎重にしなくてはいけません。

 

過敏期を過ぎた妊娠4か月以降であれば、ステロイド・パルスができます。ステロイド・パルス療法は「比較的安全」といわれていますが「100%安 全」という保証はないので、治療の必要性・利益とリスクについて主治医と充分話し合い、納得したうえで治療をおこなってください。

 

そのほか血漿交換、免疫吸着も妊娠中にできますが、凝固剤を用いるので、出血合併症、血圧低下、アレルギーなどのリスクがあります。

 

免疫グロブリン大量療法は海外ではおこなわれており、妊娠中と出産後の再発が有意に減ったこと、投与中の授乳が可能であることなどの良い点がありま すが、ヒトパルボウイルスB19の感染を100%回避できません。このウイルスに感染すると胎児水腫を起こす危険性があります。そして残念ながら日本で は、MSの治療として免疫グロブリン大量療法の保険適応がありません。


現在、プレドニン® を服用していますが、妊娠できますか?

もちろんできますが、妊娠に備えてプレドニン® の量を考慮しなくてはなりません。副腎皮質ステロイドのうち、プレドニン®、ソルメドロール® は胎児への影響が少なく、乳汁移行も少ないといわれています。

 

リウマチ患者さんをはじめとする膠原病の妊婦の人のデータを参考にすると、一般的にはプレドニン® で15〜20mg/日以下であれば比較的安全であるといわれています。なるべく少量の維持量にすることが大切です。比較的安全といってもこれまでに、口蓋 裂、低体重、副腎機能、腎機能低下のリスクが報告されています。


現在、イムラン® を服用していますが、妊娠できますか?

preg02アザチオプリン(イムラン® )の添付書によると「胎児に対する有害性があり、基本的には投与禁忌」とあります。胎児への影響として、ヒトでは胎児のリンパ球染色体異常、動物実験では催奇形性が報告されています。ですから中止するのが原則です。

 

しかし最近、臓器移植後や膠原病の患者さんで、妊娠中にアザチオプリンを投与していても、先天性奇形との関連が認められなかったという報告もありま す。また胎児の肝臓にはアザチオプリンを利用する酵素がないため、この薬の毒性から免れているということがわかりました。まとめると、最近では、イムラン ® は比較的安全な免疫抑制剤なのではないか、という説が出てきています。


対症療法で使っている薬も、やめないといけないでしょうか?

患者さんによって、対症療法で使っている薬はそれぞれ違います。MSに限らず妊娠に備えて「薬は中止すること」が原則ですが、どうしても中止困難な場合もあると思います。内服しているお薬については次のホームページが参考になります。

 

おくすり110番「妊娠とくすり」
http://www.jah.ne.jp/~kako/

 

妊娠と薬の相談外来をしている病院もあります。「妊娠と薬」「相談外来」で検索してみてください。


インターフェロンは、妊娠前、どのくらいの期間を空けてやめたら良いですか? いきなりやめても良いでしょうか?

preg06MSの再発がなく、症状が安定していることが妊娠・出産の原則です。インターフェロンを中止できるかどうか、主治医とよく相談してください。インターフェロンの薬理学的作用を考慮すると、少なくとも妊娠1ヶ月前に中止することが必要です。インターフェロンを妊娠中に継続していると、赤ちゃんの低体重、流産の率が高くなることが報告されているので注意してください。

 

インターフェロンを中止する時は、いきなり中止にせず、3週間〜1か月ほどかけてゆっくり減量し、中止することをおすすめします。急に中止にすると免疫バランスが崩れてしまい、せっかく安定している病状が悪化する可能性があります。


インターフェロン治療中に妊娠しました。

妊娠中のインターフェロンの使用は、赤ちゃんの低体重、早産のリスクが高くなるという報告があります。けれども赤ちゃんの奇形を引き起こしたという報告はありません。妊娠に気づいたらすぐに主治医に相談してインターフェロンを中止し、産婦人科を受診してください。

 

妊娠に気づかずインターフェロンを続けていて、妊娠がわかった時点でインターフェロンを中止し、元気な赤ちゃんを産んだ患者さんの話はあちこちで聞かれます。慌てず、冷静に対応するよう 努めましょう。


インターフェロンは出産後、いつ再開したら良いでしょうか?

なるべく早期に再開してください。できれば初乳が済んだら再開するのが望ましいと思います。初乳はウイルスや細菌感染を防御するたんぱく質が豊富に含まれてるので、新生児を感染から守るためにとても大切です。


授乳と薬剤の関係について、教えてください。

プレドニン® を20mg/日以上内服している場合は、服用後4時間は空けてください。インターフェロンは母乳を介して乳児に移行する可能性があるので、授乳中は中止し、インターフェロンの治療中は人工乳にしてください。免疫抑制剤を内服している場合、授乳は禁忌です。


インターフェロンを検討中ですが、先に子どもを産むか、あるいは先に治療をするかで悩んでいます。

preg01少なくとも1年以上再発がなく、病状が安定していれば妊娠の準備をしても良いと思います。しかし再発回数が多く、病状が不安定な場合には、まずインター フェロンによる再発予防治療を開始して、再発を抑え、病状を安定させてから妊娠準備をしてください。もちろん先に述べましたが、妊娠準備にかかる時には、 少なくとも1ヶ月以上はインターフェロンを中止してください。


産婦人科を選ぶ基準はありますか?

できれば、神経内科医がいる総合病院の産科婦人科を選ぶことをおすすめめします。かかりつけの病院に産婦人科があれば、もちろん一番良いと思います。もし何かあった場合、神経内科の主治医と産科の主治医が、スムースに、すぐに問題に対処できるからです。


男性が患者で、再発予防治療をしています。治療をやめてから子作りすべきでしょうか?

preg07インターフェロンによる男性生殖能への影響を調べた動物実験の報告があります。アカゲザルにインターフェロン(ベタフェロン® )を28日間反復投与して精巣への影響を調べましたが、精巣毒性は認められませんでした。催奇形性の報告もありません。

 

以上の結果をふまえると、現在のところ、男性へのインターフェロンの投与制限はない、というのが一般的な認識です。




妊娠とNMOについて

NMOの妊娠・出産に関して、MSとの違いはありますか?

NMOと妊娠について、MSほどその影響についてはわかっていません。

NMOはMSと免疫動態が異なるため、これまでは、NMOの妊娠中の再発が注目されていて、以下のような症例が報告されていました。

 

1例は全身性エリテマトーデスに合併したDevic病(1999年の論文なので、抗AQP4抗体についてはまだわかっていません)で、妊娠4ヶ月時に、脊髄炎と視神経炎を発症しています。治療は血漿交換とステロイドパルスをおこないました。

 

もう1例は妊娠を契機に再発し、後に抗AQP4抗体が陽性と判明しました。そのほか、妊娠時に視神経炎を再発したNMOに、免疫吸着とステロイドパルスを施行し、無事に出産したという報告もあります。

 

このようにNMOの患者さんは、妊娠時に再発しやすい傾向があると思われていました。

 

しかし最近の国内外の研究報告によると、出産後早期の再発がMSよりも多いこともわかってきました。従って、妊娠にそなえて、再発を起こさないように、しっかりコントロールすることがとても大事です。

 

NMOの母親から生まれた赤ちゃんに障害が出るという論文での報告は、今までのところありません。


更新:

2013年4月24日 …妊娠とNMO、インターフェロン使用中に妊娠

2009年2月17日 …妊娠とNMO

新規公開:2008年8月5日

回答:清水優子 先生 / 東京女子医科大学神経内科

認定特定非営利活動法人MSキャビン

本サイトは、eヘルス倫理コード2.0基準による
JIMAトラストマーク付与の認定を受けています。

トップへ

Copyright (C) MS Cabin All Rights reserved.