MSの治療|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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近藤誉之のブログ

MSの治療

昨日、中田さんからブログしっかりしてくださいね、と言われました。新しい記事を書くのには少し忙しいので、以下は京都多発性硬化症ラボからの転載記事です。少し加筆しました。

 

多発性硬化症(MS)は自己免疫性疾患と考えられています。 免疫系は、病原体(ウイルスや細菌)などから身体を守るしくみです。免疫系は、病原体由来成分に反応し、自分の身体の成分には反応しないようなしくみになっています。ただ、そのしくみに不具合が生じて自分の身体の成分に反応して起きる疾患を自己免疫疾患といいます。不具合の内容ははそれぞれの自己免疫疾患で共通していることも異なっていることもあります。

 

医療者にとって、診断基準を参考にして診断をし、病名をつけ治療を開始するのは患者さんを診る時の普通のプロセスです。患者さんにとっても、自分を悩ませている病気が、こういう病気だと納得するために診断病名は役にたちます。 でも、MSの臨床はそれだけではうまくいかないと私たちは考えています。


MSは、脳や脊髄(中枢神経といいます)の複数の場所(空間的多発性)に何回も病変ができる(時間的多発性)ことが特徴です。空間的多発性や時間的多発性を呈する他の疾患を除外するとMSとしていいというのが診断基準です。言い換えれば、MSだと診断できる診断マーカーは存在しません。

 

現在の診断基準は理屈上複数の病態を許容することになります。また、医学の進歩によって特定の診断マーカーが見つかると、MSとされていた患者さんが異なった診断になることもありえます。例えば、視神経脊髄炎(NMO)はその診断マーカー(抗AQP4抗体)が見つかるまでMSとされてきました。MSと同じ診断のもとでMSと同じ治療をされ、かえって増悪する患者さんがいました。


NMOを除いてもまだMSには多様性があると考えています。MSかNMOかだけの二者択一の診断をして治療方針を決定するのは危険性を含みます。


また最近、中枢神経を標的とする抗体が次々と発見されています。MSと診断されてきた患者さんの中で例えば最初からてんかん、頭痛などが強かったり、精神症状が強かった方にこういった抗体が見つかることがあります。診断基準上、MSとされていても、頭痛、精神症状の出現、てんかん発作などはMSの再発時には珍しいものとされています。こういった方も抗体関連慢性脳炎(現在そんな診断名は一般的ではありません)と言った方がいいかもしれません。


注目すべきなのはこういった患者さんたちもインターフェロンβ製剤は無効か有害だということです。

 

 私は、MSとして診断基準以外の典型検査所見、画像所見、病歴を呈する場合はインターフェロンβ製剤を第一選択にしていますが、診断基準上はMSとなる患者さん、言い換えればそれ以外の既存の病名がつけれない患者さんの中にはインターフェロンβ製剤が有害に働く患者さんが含まれています。


臨床医師が読む論文や教科書にはこのあたりを述べたものは少ないのですが、基礎系の論文には時折そんな記述があります。 診断基準から診断名をつけてその診断名によって治療方針を決めるだけではなく、免疫病態を考えた上で治療方針を決めることが必要だと考えています。そのためには、診断基準に組み入られていない各患者さんの病歴、MRI、検査所見に習熟する必要があると思います。

 

私は京都大学神経内科外来水曜日、北野病院神経内科外来木曜日、康生会武田病院神経内科土曜日の外来を担当しています。


必ずしもオープンな形式になっていませんので、どうやって受診をしたらいいかわからないと伝えられることがあります。 もし、受診など希望でしたらMSキャビンまでご連絡をください。 どうぞよろしくお願いいたします。

2015.2.16

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