進行してしまったMSの治療|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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近藤誉之のブログ

進行してしまったMSの治療

京都多発性硬化症ラボのブログで、ベッド臥床している時間がほとんどになってしまったMS患者さんに関するコメントをいただきました。

 

早期治療の必要性はよく語られますが、早期治療の機会を逸した患者さん、早期に治療を導入しても症状が進行してしまった患者さんの治療についてはあまり聴いたことが、僕自身もありません。

 

早期治療の必要性を強調するために講演会でよく使用される報告の1つは「歩行障害が明らかになると杖歩行・車椅子になるまでの期間は一定であって、少なくとも古くからあるMS再発予防薬はその期間を変化させないようだ」というものです。MS再発予防薬の効果があるのは歩行障害が明らかになる前、それを過ぎたら効果が期待できない、だから早期治療が必要だという提言にもつながっています。

 

ところが、私も含めてこの報告に問題を感じている日本のMS専門家も多いようです。先日もある製薬会社の求めに応じた会議の中で、重症度が高くても治療により進行を抑制あるいは改善できる患者さんの存在を強調すべきだとの複数の先生の意見がありました。

 

私は、重症度が高い患者さんにもMS再発抑制薬を試みるべきであろうと思います。

 

それでも、完全に車椅子生活になってから(時々必要というレベルではなく)のインターフェロンβ製剤は、治療効果への期待という点でも注射薬である負担という点でも、さすがにしんどいと思います。

 

少し前であれば、抗がん剤としても使用されるエンドキサンパルス、ノバントロンなども考慮される選択でした。定期的ステロイドパルスは比較的簡便に外来でできますし、今でも行われています。

 

私自身はフィンゴリモドの脳萎縮への抑制効果があるという少数の報告を二次進行型への治療のよりどころとするいうことには疑問を感じますが、実際にそこをよりどころとしてフィンゴリモドを二次進行型に使用される医師も増えているようです。今後はタイサブリも選択される状況もありえると思います。

 

タイサブリの二次進行型MSへの経験は僕自身はありませんが、車椅子生活から歩けるようになった患者さんがいるとある高名な先生から聴いたことがあります。もちろん非常に例外的なことだとは思います。

 

フィンゴリモドも、二次進行型になったかなというころに使用すると確かによく効くことがあります。症状の進行は停止し、少し神経症状が良くなることもあります。ただフィンゴリモドは不思議な薬で、一部の二次進行型の患者さんでは全身衰弱が進んだり明らかに有害だと思える場合もあります。

 

定期ステロイドパルスは前2つの薬より効果の得られる確率は低いものの、フィンゴリモドで全身衰弱が進んだ患者さんにフィンゴリモドを中止し、定期パルスを導入したところ、症状の進行が止まった患者さんを経験しています。

 

エンドキサンパルスも多くの患者さんへの効果を経験していますが、発がん性などの点からずっとできる治療ではないので、今はほとんどしなくなりました。次世代の薬を期待して、最後の手段という形では現在もありえるかもしれません。

 

治療を試みることは大切ですが、治療効果を判定することも同等に重要です。残念ながら神経障害が高い(EDSSの高い)ほど、治療の効果の可能性が少ないのも事実です。薬を使用していても症状が進行するのであれば、その薬は止めた方がよいと思います。

 

もちろん、何か客観的に進行が抑制できる根拠があれば別ですが、「治療薬を使用しているほうが進行は遅いはずだ」というのはおそらく根拠のない希望です。

 

先ほどの「歩行障害の明らかな時点から車椅子までの進行は、薬物によっても変更できない」という報告は問題点があることは指摘しましたが、それでも多くの真実を含んでいます。

 

車椅子以上の障害がある場合は短期間、薬剤を試みて評価し、効果がなければ中止するというのが正しいやり方だと思います。最終的に試す薬がなくなる、あるいは試せる薬があっても有害事象の可能性が上回る場合は、MS再発予防薬を使用しないという選択は、何でも使用するというより妥当だと思います。

 

ただ、何もしないで進行していくのなら何でも試したいというのであれば、それは治療方針の決定に含むべき重要な要素だとは思います。

 

中止後、私ならビタミンD、高脂血漿改善剤、ケタスなどを使用するかもしれません。これらの薬剤はMSの再発予防への効果が確実ではないものの、その効果が示唆されたことがあり、かつ比較的安全だからです。

2015.7.9

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