治療|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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MSのあらまし

- 治療

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治療は3つに分けて考えます

 

MSには病気を完全に治す治療法はありません。治療は、再発した時の「急性増悪期の治療」、再発しないようにする「再発予防・進行抑制の治療」、そして残った症状をやわらげる「対症療法」の3つに分けられます。

 

症状に個人差があるのと同じようにMSでは、治療の効果や副作用の出方にも個人差があります。ここでは一般的な治療を紹介しますが、実際の治療については主治医とよくご相談ください。

 

急性増悪期はパルス療法

 

ms07a

急性増悪期のMSで最もよく行われるのは「ステロイドパルス療法(パルス療法)」です。通常、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール®)を1日に500〜1,000mg、3〜5日間点滴します。これを「1クール」といいます。クールとは「1つの治療期間」といった意味です。

 

MSでは通常、パルス療法を1クール行います。効果が不十分な時にはもう1クール行うこともあります。

 

パルス療法の後、飲み薬のステロイド薬に切り替えて治療を続けることがあり、これを「後療法」といいます。後療法を行う場合は一般的に、プレドニゾロン(プレドニゾロン®、プレドニン®)が使われます。30〜60mg/日(体重あたり0.5〜1mg/kg)から始めて用量を徐々に減らし、長くても1ヶ月以内で終了します。

 

17ステロイド薬には免疫や炎症を抑える作用がありますが、副作用も多くあります。MSの急性増悪期のステロイドパルス療法のように短期で使われる場合には副作用は一時的なものが多く、ステロイドパルス療法が終われば治まりますが、頻回にされている場合は感染症を含めて注意が必要です。

 

ステロイドパルス療法の効果が十分に得られない場合や、副作用のために大量のステロイド薬が使えない場合は、血漿浄化療法(単純血漿交換療法、二重濾過血漿分離交換療法、免疫吸着療法)が行われることがあります。例えるならば腎不全で行われる透析のような治療で、血液を体の外に取り出して機械にかけた後、体に戻します。

 

疾患修飾薬で再発予防

 

ms07b

MSの多くは、再発と寛解を繰り返した後に徐々に症状が進行していきます。そのため再発を減らして進行期に入らせないようにすることが必要で、この目的で使われるのが再発予防・進行抑制の薬です。これらの薬を「疾患修飾薬(DMD)」といいます。

 

日本では2021年9月現在、下記8種類のDMDが承認されています。各薬剤の特徴などは下記のとおりです。

 

日本国内で承認されている疾患修飾薬

 

 (国内承認順)

インターフェロン・ベータ1b(ベタフェロン®)→Q&Aへ

国内販売:2000年
使い方:皮下注射
回 数:2日に1回
副作用:注射部位反応、インフルエンザよう症状、肝機能障害、リンパ球減少・抑うつ など

 

インターフェロン・ベータ1a(アボネックス®)→Q&Aへ

国内販売:2006年
使い方:筋肉注射
回 数:1週間に1回
副作用:注射部位反応、インフルエンザよう症状、肝機能障害、リンパ球減少・抑うつ など

 

フィンゴリモド塩酸塩(イムセラ®、ジレニア®)→Q&Aへ

国内販売:2011年
使い方:飲み薬
回 数:1日1回
副作用:徐脈じょみゃく、心電図異常、黄斑浮腫おうはんふしゅ、肝機能障害、リンパ球減少、感染症、PMLぴーえむえる進行性多巣性白質脳症しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)など
※新型コロナワクチンの効果を減弱させる可能性がある

 

ナタリズマブ(タイサブリ®)→Q&Aへ

国内販売:2014年
使い方:点滴
回 数:4週に1回 ※添付文書では4週に1回となっていますが、多くの施設では6〜7週間に1回
副作用:注射時反応、肝機能障害、感染症、PMLぴーえむえる進行性多巣性白質脳症しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)、GCNじーしーえぬ小脳顆粒しょうのうかりゅう細胞障害)、ARNえーあーるえぬ(急性網膜壊死もうまくえし)など

 

グラチラマー酢酸塩(コパキソン®)→Q&Aへ

国内販売:2015年
使い方:皮下注射 
回 数:毎日
副作用:注射部位反応、注射直後反応、過敏性反応 など

 

フマル酸ジメチル(テクフィデラ®)→Q&Aへ

国内販売:2017年
使い方:飲み薬
回 数:1日2回
副作用:潮紅ちょうこう、胃腸障害、リンパ球減少、感染症、PMLぴーえむえる進行性多巣性白質脳症しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)など

 

シポニモドフマル酸(メーゼント®)→Q&Aへ

国内販売:2020年
使い方:飲み薬
回 数:1日1回
副作用:徐脈じょみゃく、心電図異常、黄斑浮腫おうはんふしゅ、肝機能障害、リンパ球減少、感染症、PMLぴーえむえる進行性多巣性白質脳症しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)など
※新型コロナワクチンの効果を減弱させる可能性がある

 

 オファツムマブ(ケシンプタ®)→Q&Aへ

国内販売:2021年
使い方:皮下注射
回 数:4週に1回
副作用:感染症、注射時反応、類似薬でPMLぴーえむえる進行性多巣性白質脳症しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)が報告
※類似薬で新型コロナ重篤化の報告がある
※新型コロナワクチンの効果を減弱させる可能性がある

 

 

残った症状を緩和18

 

 

MSでは、急性増悪期の治療を適切に行っても症状が充分に回復せずに残ってしまうことがあります。それがこの先良くなっていくのか、または良くならないのかは分かりません。

 

次の症状は薬で軽減できることがあります。我慢せず、薬の服用を主治医とご相談ください。

 

 

痛み、しびれ

抗てんかん薬:カルバマゼピン(テグレトール®)、トピラマート(トピナ®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®) 、フェニトインナトリウム(アレビアチン®)など

 

抗うつ剤:アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール®)、イミプラミン塩酸塩(トフラニール®)、デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ®)、パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル®)、エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ®)など

 

その他:プレガバリン(リリカ®)、ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ®)、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン(トラムセット配合錠®)、メキシレチン塩酸塩(メキシチール®)など

つっぱり

バクロフェン(リオレサール®、ギャバロン®)、チザニジン塩酸塩(テルネリン®)、ダントロレンナトリウム水和物(ダントリウム®)、A型ボツリヌス毒素(ボトックス®)など

 

疲 労

アマンタジン塩酸塩(シンメトレル®)、レボカルニチン(エルカルチン®)、補中益気湯など

 

排尿障害

膀胱の筋肉が過敏に反応してしまう場合:ビベグロンベオーバ®)、ミラベグロン (ベタニス®)、イミダフェナシン (ウリトス®、ステーブラ®)、フェソテロジンフマル酸塩 (トビエース®)、オキシブチニン塩酸塩(ポラキス®)、フラボキサート塩酸塩(ブラダロン®)、プロピベリン塩酸塩(バップフォー®)、酒石酸トルテロジン(デトルシトール®)、プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン®)、コハク酸ソリフェナシン(ベシケア®)など

 

排尿時に尿道の筋肉が緩まない場合:ウラピジル(エブランチル®)、ナフトピジル (フリバス®)、タムスロシン塩酸塩(ハルナール®)など

 

筋肉の収縮が弱い場合:ベタネコール塩化物(ベサコリン®)、ジスチグミン臭化物(ウブレチド®)など

 

排便障害

便秘(便をやわらかくする):酸化マグネシウム(酸化マグネシウム®、マグミット®、マグラックス®)、クエン酸マグネシウム(マグコロール®)、ルビプロストン (アミティーザ®)、リナクロチド (リンゼス®)、エロビキシバット (グーフィス®)、マクロゴール4000・ポリエチレングリコール4000  (モビコール®)、潤腸湯、大建中湯、麻子仁丸など

 

便秘(腸を刺激する):センノシド(プルゼニド®)、センナ(センナ®、アローゼン®)、ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン錠®、ラキソベロン内容液®)、ビサコジル(テレミンソフト坐薬®)など

 

便失禁:下痢止めの塩酸ロペラミド(ロペミン®)、便の硬さを調整するポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®)など。便が緩くて困る場合はビフィズス菌製剤(ラックビー®)や酪酸菌製剤(ミヤBM®)など

 

 

(2021年9月13日現在)

 

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