治療薬Q&A~グラチラマー酢酸塩・コパキソン|MSキャビン(多発性硬化症 視神経脊髄炎)

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トップページ > 治療薬Q&A~グラチラマー酢酸塩

グラチラマー酢酸塩(コパキソン®)

avxコパキソン®は日本で2015年に発売されました。1日に1回の皮下注射薬です。

 

このページでは、この薬についてQ&Aで解説しています。

新規公開:2016年5月27日  更新:2018年12月12日

文:MSキャビン編集委員
大橋高志おおはしたかし越智博文おちひろふみ近藤誉之こんどうたかゆき中島一郎なかしまいちろう
新野正明にいのまさあき宮本勝一みやもとかついち横山和正よこやまかずまさ中田郷子なかたきょうこ

 

全体的なことを教えてください。
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コパキソン®とは何ですか?全体的なことを教えてください。

MSは中枢神経系の軸索じくさくを覆うミエリンが攻撃されてしまう病気ですが(→「MSのあらまし -病気の起こり方」へ)、そのミエリンはいくつかの成分で構成されています。

 

中でも「ミエリン塩基性えんきせいタンパク」に注目して開発が始められたのがグラチラマー酢酸塩(コパキソン®)です。ミエリン塩基性タンパクの4つの成分を元にして人工的に作った製剤です。

 

コパキソン®による治療は、アボネックス®とベタフェロン®とまとめて「ABC療法」と呼ばれることがあります。

 

どのように使いますか?全体的なことを教えてください。

毎日、本人または家族などが、お腹、脇腹、腕、太もものやわらかい部位に注射します。注射は「オートジェクト2®」という専用の補助器具を使います。

 

どのような効果があるのですか?全体的なことを教えてください。

国内外の臨床試験では、MSの再発回数を減らしたり、再発した時の症状を軽くしたりする効果が示されています。またMRI検査で確認できる病巣びょうそうの拡大や新しい病巣の出現を減らす作用もあります。

 

MSが完治しますか?全体的なことを教えてください。

コパキソン®を使ってもMSは完治しません。現在、MSを完治させる薬は存在しません。

 

どのくらいの期間使いますか?全体的なことを教えてください。

使用期間は決められていません。コパキソン®は再発を予防する薬です。この薬を始めて病状が安定し、副作用に問題がなければ、続けたほうが良いといえます。

 

どのような人に効くのですか?
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30%しか効かないのですか?どのような人に効くのですか?

海外の臨床試験において、偽の薬が投与されたグループと比較して、本物の薬が投与されたグループの年間再発率が、約30%減ったことが示されました。これは「治験に参加した全ての人の1年間の再発回数の総和が、コパキソン®を使用した人では30%少なかった」ということです。

 

コパキソン®を使うことで再発が止まる(100%)人もいれば、再発回数に全く変化がない(0%)人もいますし、コパキソン®で再発が半分に減る(50%)人もいます。このようにコパキソン®による効果は患者さんによって違いますが、全ての人で平均すると、コパキソン®を使った人では30%減少したということです。

 

進行型のMSにも効きますか?どのような人に効くのですか?

コパキソン®の効能は「多発性硬化症の再発予防」です。海外でも再発寛解型MSに対して使われており、進行型MSに対する安全性と効果は不明です。

 

小児MSにも効きますか?どのような人に効くのですか?

添付文書には「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない」と記載されています。

 

再発が続きますが、効いてないのですか?どのような人に効くのですか?

コパキソン®は効果が出るまでに数ヶ月かかるといわれています。治療開始後すぐに再発した場合はまだ効果が出ていないのかもしれず、すぐに「効いていない」とは判断できません。

 

しかし、再発が続く場合や、これまでに経験したことがないような大きな再発をした場合はコパキソン®が合っていないのかもしれず、治療や診断の見直しが必要になってきます。

 

別の再発予防薬からコパキソン®に変更した時にこのようなことが起こった場合には、それまで使っていた薬の効果が切れたことによる再発、あるいは急激に病気が悪化する「リバウンド」の可能性もあります。

 

リバウンドはフマル酸ジメチル(テクフィデラ®)、フィンゴリモド(イムセラ®、ジレニア®)、ナタリズマブ(タイサブリ®)に報告されています。

具合が悪くなりませんか?
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どんな副作用がありますか?具合が悪くなりませんか?

主な副作用は、注射部位の発赤・痛み・かゆみなどの「注射部位反応」、注射後数分以内に起こる顔面紅潮こうちょう、胸痛、息苦しさ、動悸・頻脈などの「注射直後反応」、発赤・じんましん・喉のかゆみ・けいれん・失神などの「過敏性反応」です。

 

かえって悪化しませんか?具合が悪くなりませんか?

コパキソン®は再発寛解型MSの人に使われますが、全ての人に効果があるわけではありません。再発が続く場合や、これまでに経験したことがないような大きな再発をした場合はコパキソン®が合っていないのかもしれず、治療や診断の見直しが必要になってきます。

 

副作用の対処法はありますか?具合が悪くなりませんか?

「注射部位反応」に対しては、注射手技を再確認し、注射部位を毎回変えるなどして対処します。また注射したところをもんだりこすったりしないでください。販売会社が提供している保温・保冷パックを使用することで、注射部位反応が軽快することもあります。

 

「注射直後反応」の多くは一時的で軽いです。対処として注射頻度を2〜3回/週にして、徐々に頻度を増やしていく方法があります。それでも続く場合は改めて主治医に相談してください。

 

「過敏性反応」は頻度は低いですが、これが起こった場合は次の注射は打たずに主治医に連絡してください。

 

素朴な疑問です。
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始める時は入院するのですか?素朴な疑問です。

治療を始める時は特に入院は必要とされていませんが、注射の仕方や副作用の管理について、主治医や看護師さん・薬剤師さんから充分に説明を受けてください。注射直後反応が現れることがあるので、初回は投与後少なくとも30分は病院で様子を見ることがすすめられています。

 

医療費はどうなりますか?素朴な疑問です。

コパキソン®はMSの再発予防薬として承認されているため、指定難病の条件を満たせば医療費助成が受けられます。詳しくは「医療費助成について」をご覧ください。

 

コパキソン®は1本5,501円、28日分で154,028円です。薬が余ったら溜め込まず、主治医に伝えてください。

 

服用時間・保管の仕方
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どこに注射しますか?服用時間・保管の仕方

1日に1回、本人または家族などが、お腹、脇腹、腕、太もものやわらかい部位に注射します。注射部位反応を防ぐため、毎回、部位を変えます。

 

針は29ゲージというサイズで細く、注射の深さは、筋肉に到達しない皮下の部分です。


同じ時間に注射しないといけませんか?服用時間・保管の仕方

打つ時間に決まりはありません。


注射後、すぐにお風呂に入れますか?服用時間・保管の仕方

注射部位の保護ため、注射直後の入浴はおすすめできません。多くの人は、入浴後少し経った就寝前に注射をしています。

 

注射直後に入浴する際は、注射部位をゴシゴシこすらないようにしてください。翌日以降の入浴では、通常通りに洗っても問題ありません。


どのように保管すれば良いですか?服用時間・保管の仕方

コパキソン®は2〜8℃の冷蔵保存がすすめられているため、箱に入れたまま凍らないように冷蔵庫に入れます。注射の際は室温に戻すため、注射の20~30分前には冷蔵庫から出しておきます。冷たいまま注射すると注射部位反応が強く出る恐れがあります。

 

旅行に行く時の注意点は?服用時間・保管の仕方

保冷剤や携帯用保冷バッグを利用し、現地に到着したらなるべく早く冷蔵庫に入れてください。

 

コパキソン®は空港のX線検査を通過できます。貨物室の環境を考え、手荷物で機内に持ち込むようにしてください。

 

飛行機は原則「注射針は、機内で使用することがなければ持ち込み禁止」とされています。しかし現状として国内の場合、手荷物検査の際に針を持参していることを伝えれば、問題ないようです。 航空会社(日本航空、全日空)では、注射器を機内に持ち込む場合は、予約の時点で伝えておくことをすすめています。

 

海外旅行に行く際は、英文の診断書と薬剤証明書を携帯することをおすすめします。早めに主治医に相談してください。

 

服用について
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生活リズムが変わることはありますか?服用について

コパキソン®は副作用が少ないといわれているため、この薬を始めて生活リズムが変わることは考えにくいです。

 

仕事は続けられますか?服用について

続けられます。


食事制限はありますか? お酒は?服用について

コパキソン®使用中の食事制限はありません。お酒を飲んでも大丈夫です。しかし酔った状態だと注射手技を間違う可能性があるため、コパキソン®の注射前には飲酒しないほうが良さそうです。

 

プール・温泉には入れますか?服用について

注射部位に感染を起こすリスクがあるため、注射直後にプールや温泉に入ることはおすすめできません。注射後数時間が経過している場合は制限ありません。

 

他の治療・予防接種について
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ほかの薬を併用しても大丈夫ですか?他の治療・予防接種について

コパキソン®との併用が禁止されている薬剤はありません。


インフルエンザの予防接種は受けられますか?他の治療・予防接種について

インフルエンザワクチンは併用禁止にはなっていません。

 

ただ、インフルエンザワクチン接種後に倦怠感けんたいかんや発熱、頭痛などが起こることがあるので、予防接種を受けた日はコパキソン®を休んだほうが、気持ちの面でも安心できるかと思われます。

 

ステロイドパルス療法は受けられますか?他の治療・予防接種について

コパキソン®の治療中に再発した場合はMS再発時の通常の治療をおこないます。

 

ステロイドパルス療法中にコパキソン®を注射するかどうかについて決まりはありません。しかしステロイドパルス療法コパキソン®を併用すると注射部位反応が出やすくなるという報告があります。機序は不明です。

 

注射がだんだん難しくなってきました。
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注射が痛くて困っています。注射がだんだん難しくなってきました。

ダイアリーを活用し、あちこちに注射するようにしてください。注射前に深呼吸を数回し、息を吐く時に合わせて注射してみるのもひとつの方法です。

 

針の深さを変えてみたり痛み止めを飲んでみたりするのも対処のひとつです。主治医にご相談ください。

 

また、薬液が室温に戻っているかを確認してください。冷たいまま注射すると、注射部位反応が強く出る恐れや、痛みが増強する可能性があります。

 

注射が負担です。注射がだんだん難しくなってきました。

注射したくない気持ちが強く、コパキソン®自体が大きな負担になっている場合は、我慢しないで主治医にご相談ください。別の薬に替えることを検討してくれます。

 

子どもがほしいのですが?
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妊娠・出産に影響ありますか?子どもがほしいのですが?

コパキソン®の使用経験により、妊娠・出産できなくなることはありません。

 

コパキソン®はほかのMS再発予防薬と比べて、妊婦への安全性が高いといわれています。薬の説明書きにも「治療しないことによるリスクのほうが大きいのであれば、妊娠中の使用はやむを得ない」といったことが書かれています。

 

けれども妊婦への安全性は確立していないことと、そもそも妊娠中はMSが安定する傾向にあることを考慮し、妊娠がわかったらコパキソン®は中止するのが原則です。

 

出産後、いつ治療を再開したら良いでしょうか?子どもがほしいのですが?

一般的には出産後にMSの再発率が上昇するので、早めの治療再開がすすめられています。初乳が済んだ時点で治療を再開するのが望ましいとされることもありますが、お母さんやご家族の気持ちもあります。妊娠前・その時点での病状も含めて、主治医とご相談ください。

 

授乳と薬剤の関係について教えてください。子どもがほしいのですが?

薬剤が母乳を介して乳児に移行する可能性があるので、授乳中はコパキソン®を使えません。

 

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