視神経脊髄炎について知ってほしいこと

こんにちは。MSキャビンの坂本です。今回のブログでは、視神経脊髄炎(NMOSD)患者さんの周りの方々に向けて、NMOSDについて知ってほしいことをお伝えします。

NMOSDは、日本にはおよそ6,500名いるといわれているまれな病気です。患者数は少なく、病名すら見聞きしたことない。という人が大半だと思います。

この病気が今より多くの人に知られ、理解が深まることで、患者さんの暮らしはより良いものになると思います。

一方で、NMOSDの全てを一度に理解するのは大変です。本ブログでは「NMOSDのココだけは知っておいてほしいポイント」に絞りご紹介いたします。どうぞ最後までお付き合いください。

[目次]
ポイント1 原因不明・治療が必須
ポイント2 見た目に分かりにくい
ポイント3 誰のせいでもない
まとめ
原因不明で困っている方へ

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ポイント1 原因不明・治療が必須

NMOSDは原因不明で根治療法がなく、日本では難病に指定されています。

根治療法はないものの、NMOSDは治療が必須です。何も治療をしていないと再発を繰り返し、再発することで障害が増える可能性があるからです。しかも1回の再発が大きく、1回の再発で失明したり車いす生活になったりすることもあります。

治療についてはこちらをご覧ください。
「NMOSDのあらまし:治療」

患者さんは再発の恐怖を抱えながら、日々治療を頑張っています。患者さんの心配している気持ちや不安感が少しでも軽減できるようサポートしていただけたら助かります。

【具体的なサポート案】
◉患者さんの悩みごとや困ったことなど話を聞く
◉一緒に買い物や食事に行き気分転換をする
◉症状が出る前と変わらず、いつも通り気さくに接する など

そして、治療には副作用が付き物です。中には命に関わる副作用に注意が必要な薬もあり、患者さんはそのような副作用への不安も抱えています。

また、ステロイドの副作用で苦しんでいる人が多いです。中でも肥満とムーンフェイスは、もしかすると健康そうに見えるかもしれません。でも実際患者さん本人は、「太って悲しい」「本来の私ではない」など、外見とのギャップや葛藤を抱えている人が多いです。外見の変化に触れないでいただけると助かります。

ポイント2 見た目に分かりにくい

NMOSDの視神経炎の主な症状として、高度の視力低下、視野欠損、色覚異常、眼痛などが挙げられています。また、脊髄や脳に病巣ができることで生じる運動障害や痛みやしびれ、排泄障害など、体の多岐にわたる部位に症状を訴える患者さんが多いです。症状なのか判断できない体調不良で悩む人もいます。

これに加え、疲労感や、体温が上がると症状が一時的に悪くなる「ウートフ現象」があります。天候の変化で体調が悪くなることもあります。

これらの症状の多くは、見た目には分かりにくいです。また、例えば、ウートフ現象で体温を下げるために休んでいると怠けているように見えるかもしれません。なぜ動こうとしないのかなど、間違った解釈や誤解を生んでしまうこともあります。

中でもNMOSDの痛みやしびれは相当つらいことが多く、日常生活に支障を来すこともあります。それにも関わらず精神的な問題だとされることがあります。周りの方には、実際、気合や気持ちの持ちようでどうにかなる問題ではないことを知ってほしいです。

【具体的なサポート案】
◉「その人」の症状をまずは理解する
◉配慮が必要かどうか声をかける(家事の協力、外の用事の代行、荷物を持つ、メール文字の大きさの確認、など)
◉その人のペースに合わせる(休憩を許容、歩くスピードを合わせる、一緒に休む、など)

ポイント3 誰のせいでもない

NMOSDは発症・再発の原因が分からない病気です。原因が分かっていれば予防もできそうですが、たとえ普段から規則正しい生活を送っていたとしても、食生活に気を配っていたとしても、発症や再発は誰にも予測できません。「自己管理が悪かったから病気になった」といった捉え方は間違いです。

NMOSDになったのは、患者さんのせいでも、家族のせいでも、親御さんのせいでも、誰のせいでもありません。きっと患者さんは、悔しい思いや、やるせない気持ち、ご本人にしか分からない思いがあると思います。

周りでサポートされる方は、患者さんが置かれている状況を想像し、話を聞いたり、そばにいたり、時にはどのようなサポートが必要か、患者さんに聞いてみるのも1つの手かもしれません。優しく手を差し伸べていただけたら嬉しく思います。

まとめ

NMOSDについてポイントを絞ってお伝えしてきました。NMOSDの患者さんは、元気そうに見えても、実はたくさんの症状を抱えて必死に日常・社会生活を過ごしています。その中でつらく苦しい思いや経験をしている患者さんも多くいらっしゃいます。それでも、少しでも普通でいられるように、少しでも周りに心配をかけないように、いつも頑張っています。

周りの方々にもそれぞれの思いがある中、このように理解してほしいというのは一方的な話なのかもしれません。ただ、患者さん本人の頑張りだけでは理解は広がっていかないと思います。周りの方々に少しでもNMOSDという病気を理解していただき、温かいサポートをしていただけると嬉しく思います。

原因不明で困っている方へ

NMOSDは通常、脳神経内科で診る病気です。しかしNMOSDの患者さんの多くは初発時に脳神経内科を受診していません。目に症状が出れば眼科に、手足の症状は整形外科に、吐き気やしゃっくりは消化器内科に行くことが多いです。

結果、原因が分からず確定診断が遅れる患者さんがたくさんいます。もし別の診療科で「異常なし」と言われて症状が続いている場合、脳神経内科で診てもらうといいかもしれません。

こちらもご覧ください。
→「NMOSDのあらまし:症状
(編集委員監修中)