視神経脊髄炎(NMOSD)

ユプリズナ®

ユプリズナ®(一般名:イネビリズマブ)は、視神経脊髄炎(NMOSD)の再発予防薬です。6カ月に1回点滴します。日本では2021年3月に承認されました。

ユプリズナ® – 基本情報

商品名(一般名)ユプリズナ®(イネビリズマブ)
投与方法(頻度)点滴(6カ月に1回)
効能または効果視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防
薬価3,495,304円/100mg/10mL 1瓶(2025年7月現在)
※NMOSDに対する用量は300mgのため、実際の投与はこの瓶を複数本組み合わせて行います。

ユプリズナ® – よくあるQ&A

どのような効果がありますか?
  • B細胞の一部(CD19陽性B細胞)を除去し、AQP4抗体の産生を抑えます。
  • 臨床試験では再発を単剤で約77%低下させました。
  • MRIの活動病巣や入院回数を減らす効果も確認されています。
どのような副作用がありますか?
  • 感染症にかかりやすくなり、B型肝炎の再活性化にも注意が必要です。
  • 点滴中に呼吸困難・発熱やせき・動悸などの全身反応(インフュージョンリアクション)が起こることがあります。
  • 進行性多巣性白質脳症(PML)はユプリズナ®で報告されていませんが、同系統の薬で報告があるため注意が必要です。
どのように使うのですか?
  • ユプリズナ®は6カ月に1回点滴を行います。
  • 治療の最初だけ、投与間隔が短くなります。
  • 点滴時間は120分ほどで、基本的に入院は不要です。

ユプリズナ® – 詳細

NMOSDは血液中のアクアポリン4抗体(AQP4抗体)が、アストロサイトの足突起にあるアクアポリン4を攻撃することによって起こります。このAQP4抗体はB細胞から産生されます。

ユプリズナ®はB細胞のうち「CD19陽性B細胞」という種類のB細胞を除去する作用があります。それによりAQP4抗体の産生が抑制されます。

ユプリズナ®の治験では、AQP4陽性の患者さんの再発リスクを、偽薬との比較で単剤で77.3%低下させました。また偽薬群に比べて、EDSSの悪化を抑制し、MRIの活動病巣を減らし、入院回数を減らしたことも認められました。

ユプリズナ®添付文書には、「抗AQP4抗体陰性の患者において有効性を示すデータは限られている。本剤は、抗AQP4抗体陽性の患者に投与すること」と記載されており、陰性の患者さんには使えません

小児NMOSDに対しての臨床試験は行われておらず、添付文書にも使用についての記載がありません。

ユプリズナ®は6カ月に1回の点滴薬です。
治療を始める時は初回、2週間後に点滴し、その後は初回投与から6カ月後、以降6カ月に1回の間隔で点滴します。1回の点滴所要時間は120分ほどです。
入院は必要なく、外来での治療が可能です。

ユプリズナ®の維持期における年間薬剤費は、2025年7月現在で約2,097万円です。しかしNMOSDの再発予防薬として承認されているため、指定難病の条件を満たせば医療費助成が受けられます。詳しくは「医療費助成について」をご覧ください。
※医療費助成の条件にご注意ください。ユプリズナ®の投与頻度は6カ月に1回です。

副作用と対処法

B細胞を除去する作用があることから、感染症にかかりやすくなります。とはいえ、過度に神経質になる必要はありません。一般的な感染対策をしてください。

また、B型肝炎にかかったことがある場合は、ウイルスが再活性化し、劇症肝炎を引き起こす可能性があります。そのため治療開始前にB型肝炎の抗原・抗体検査が行われ、必要に応じて、治療中や治療終了後は肝機能検査値やB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングなどが行われます。

モノクローナル抗体製剤で懸念される進行性多巣性白質脳症(PML)に関しては、ユプリズナ®では報告されていません。しかし同じ系統のB細胞除去療法(リツキシマブ)でPMLが報告されているため、念のため注意は必要です。

PMLの初期症状のような異変(精神状態・行動の変化、記憶障害、進行性の片側麻痺、四肢麻痺、構音障害、視野障害、失語症など)を感じたら主治医に連絡してください。

PMLに関しては多発性硬化症の治療薬タイサブリ®のページをご覧ください。→「タイサブリ®」へ

点滴に伴って呼吸困難、意識の低下、意識の消失、まぶた・唇・舌の腫れ、発熱、寒気、嘔吐、せき、めまい、動悸などの全身反応(インフュージョンリアクション)が起こることもあります。

その予防のため、ユプリズナ®の投与前には毎回、点滴のステロイド内服の抗ヒスタミン剤解熱鎮痛剤が使われます。

他の治療・予防接種について

ユプリズナ®には併用が禁止されている薬はありません

NMOSD患者さんの多くはステロイドや免疫抑制薬、対症療法のための薬剤を服用していますが、そういった薬剤との併用は禁止されていません。
臨床試験ではユプリズナ®の最初の点滴から3週間はステロイドが併用されていました。

ただしステロイドは感染症リスクを高めます。ユプリズナ®との併用により重症感染症を招くリスクが高まるため、可能な限り併用は避けた方がいいと考えられます。

とはいえステロイドを減らすと再発のリスクが高まりそうな人もいます。そのような場合はやむを得ずユプリズナ®とステロイドを併用することになるでしょう。その場合は一層、重症感染症のリスクに注意する必要があります。

ユプリズナ®使用中のステロイドパルス療法や血漿浄化療法は禁止されていません。再発と考えられる場合にはステロイドパルス療法や血漿浄化療法が行われることがあります。次回の投与については主治医と相談してください。

ユプリズナ®から他の薬剤への変更は可能です。ただし、治療薬によって作用機序・投与方法・投与期間が異なるので、変更する治療薬の種類や変更のタイミングは主治医とご相談ください。

ユプリズナ®の治療中は、インフルエンザや帯状疱疹などの不活化ワクチンやコロナワクチンは受けられますが、ワクチンの効果が十分に得られないかもしれません。
ワクチン接種時期については、ユプリズナ®の投与と投与の間くらいの接種が勧められています。

麻疹ワクチン・風疹ワクチン・水痘ワクチンなどの生ワクチンを接種すると、ワクチンの病原体が体内で増殖する可能性があります。ユプリズナ®の治療中、および中止後もB細胞数が回復するまでは生ワクチンの予防接種は避けてください

効果判定

ユプリズナ®は効き始めに少し時間がかかるといわれています。治療開始後すぐに再発した場合はまだ効果が出ていないのかもしれず、すぐに「効いていない」とは判断できません。

参考として血液中のユプリズナ®の量は、ユプリズナ®投与後すぐに増えることが分かっています。またユプリズナ®を投与してから血中のB細胞が消滅するのに約1カ月かかります。

ユプリズナ®には「いつまで使うべきか」という決められた期間はありません。ただし、いくつか注意しておきたい点があります。

ユプリズナ®が作用する細胞について

ユプリズナ®は、CD19陽性B細胞という種類のB細胞を減らす薬です。
同じB細胞を標的にするリツキサン®(CD20陽性B細胞を除去)よりも広い段階のB細胞を抑えるのが特徴です。
そのため、NMOSDの再発予防として、リツキサン®より強い効果を発揮する可能性が考えられます。

骨髄にある未熟なB細胞への影響

ユプリズナ®が標的とする CD19は、骨髄にある 「骨髄前駆B細胞(まだ未熟なB細胞) にも発現しています。このため、B細胞が育っていく途中の段階にも影響が及ぶ可能性があると考えられます。

長寿命型形質細胞は影響を受けない

一方で、「長寿命型形質細胞」という、長い年月、抗体を作り続ける細胞があります。この細胞は、ユプリズナ®の影響をほとんど受けません

ただし、長寿命型形質細胞は新しい病原体に対応して学習する仕組みを持たない細胞です。また、長い年月のうちにゆっくりと数が減っていくこともあるとされています。そのため、影響を受けにくい細胞が残っているからといって、免疫全体が十分に保たれているとは言い切れません。

ユプリズナ®を長期間使い続ける場合は、免疫の変化や、感染症のリスクが上がっていないかを、主治医と確認しながら治療を続けることが大切です。

妊娠・出産・授乳への影響妊娠・出産

ユプリズナ®の使用経験により、妊娠・出産できなくなることはありません。催奇形性の報告はありませんが、添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい」「本剤投与中及び最終投与後6カ月間は適切な避妊を行うよう指導すること」と書かれています。安全性に関する知見が十分ではなく、慎重な対応が必要です。

ユプリズナ®使用中に妊娠した場合は、出産後に子供の血液中のB細胞をチェックする必要があります。

添付文書には「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」と書かれています。ただ、ユプリズナ®のような抗体製剤は、乳児の消化管で消化されるので、大きな影響を与えないとの見解もあります。

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2025年11月25日(長期使用の可否と継続の目安)
2025年9月26日(基本情報を追加)
2024年4月2日(全体を改訂)
2022年4月27日(新規公開)

監修:MSキャビン編集委員
出典:MSキャビン「NMOSD治療薬解説:ユプリズナ」
URL:https://www.mscabin.org/nmosd/nmosduplizna/
(最終更新日:2025年11月25日)