多発性硬化症(MS)

妊娠・出産

「妊娠・出産に問題なし」で見解一致

MSが直接の原因で子供ができにくくなったり、出産に悪影響を及ぼしたりすることはありません。もともと健常人で起こりうる、流産、死産、奇形発生、分娩時の合併症のリスクがMSで高まっている事実もありません。実際に多くのMSの人が子供を産み、子育てに励んでいます。

周りからのサポートを準備

妊娠中はMSが安定する傾向にありますが、産後3~6ヶ月間は再発しやすくなります。特に産後3ヶ月に再発が多く、20〜40%がこの時期に再発しているといわれています。ただ残り60%〜80%は再発していないことも気に留めたいところです。

産後に再発しやすくなる理由は、ホルモンのバランスが変わることや育児への不安、過労、睡眠不足、ストレスなどが考えられます。特に産後は周りから十分なサポートが得られるように準備しておいてください。

妊娠希望の場合は主治医に相談を

妊婦に対する安全性が100%証明されている薬はありません。薬を使用している場合は主治医と相談してください。これまでの経過と現在の状態を考慮した上で、妊娠を予定しているのであれば使用しないほうが良い薬、安全性が高い薬などを考えてくれます。国際成育医療センターの周産期・母性診療センターでは健康保険適用外(完全予約制、有料)でオンライン相談もあります。
国際成育医療センター

MSの再発予防薬の中で、フィンゴリモド(イムセラ®、ジレニア®)は胎盤を通過しやすく、動物実験で認められた重い先天性奇形がヒトでも認められています。服用中は避妊を徹底してください。薬が体内に残る期間は最長で2カ月間です。服用中だけではなく、治療を止めても最低2カ月は避妊してください。シポニモド(メーゼント®)も中止後10日間までは避妊が必要です。

男性がMSの場合

男性がMSの場合も、MSが直接の原因で子供ができにくくなったり、出産に悪影響を及ぼしたりすることはありません。MSで使われる薬の中では、男性側にリスクを及ぼすといわれているものはありません。