視神経脊髄炎(NMOSD)

すぐ分かる視神経脊髄炎

 

視神経脊髄炎とは何ですか?

「視神経脊髄炎」は「視神経脊髄炎スペクトラム障害」とも呼ばれ、脳、脊髄、視神経の病気です。英語名は「Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders」で、その頭文字から世界的に「NMOSD(えぬえむおーえすでぃー)」と呼ばれています。水チャンネルのAQP4分子が自己抗体(AQP4抗体)によって攻撃されることで起こる自己免疫疾患の1つです。根治療法がない難病です。人から人にうつる伝染病ではありません。また特定の遺伝子の異常によって起こる遺伝病でもありません。

どんな人がなるのですか?

平均発症年齢は35歳前後で、約90%が女性です。有病率には、多発性硬化症のような地域や人種による大きな差はみられません。日本では2017年にNMOSDの全国臨床疫学調査が行われました。その結果、患者数は全国で約6,500人、有病率は10万人あたり5.3人と推計されました。

どんな症状があるのですか?

通常、病巣ができる部分に応じた神経症状が出てきます。病巣ができる部位や大きさは人それぞれで違うので、症状の種類や程度も人によって様々です。視神経と脊髄の症状が多く、程度も強いのが特徴です。NMOSD全体としてよく見られる症状は視力障害、運動障害、感覚障害、強い痛み、しびれ、排尿障害、しゃっくり、吐き気などです。

どのように診断されますか?

丁寧な問診と神経学的診察、血液検査、MRI検査、眼科検査、髄液検査などが行われます。中でも血液中のAQP4抗体の有無を調べる血液検査は必須です。通常、脳神経内科(神経内科)が担当します。

どんな治療がありますか?

急性増悪期には炎症を鎮めるために高用量の副腎皮質ステロイド薬を使います(ステロイドパルス療法)。改善しない時は血漿浄化療法を行います。場合によってはステロイドパルス療法と同時に血漿浄化療法を開始することもあります。大量免疫グロブリンの点滴(IVIg)が行われることもあります。

再発予防薬は経口ステロイド薬や免疫抑制薬が中心に使われてきましたが、近年、3つのモノクローナル抗体製剤が承認されました(ソリリス®、エンスプリング®、ユプリズナ®)。残された症状に対しては症状を緩和するための対症療法を行います。

これからどうなるのですか?

NMOSDの経過は様々で誰にも予測できません。特徴は再発を繰り返すことで、その頻度には個人差があります。何も再発予防治療をしていない場合は1回の再発症状が重いことが多く、再発の度に後遺症が増えかねません。NMOSDには再発予防治療が必須です。

利用できる社会資源はありますか?

NMOSDは難病法によって指定難病に定められています。NMOSDと確定診断され、さらに決められた条件を満たすと、医療費の一部が公費で負担されます。窓口は住所地を管轄する健康福祉センター(保健所)などです。

指定難病では「多発性硬化症/視神経脊髄炎」と表記されていますが、これは2つの病気が並列されているだけで、多発性硬化症と視神経脊髄炎は別の病気です。病気の起こり方も治療も違います。この2疾患を合併することはありません。

新規公開:2017年8月13日  更新:2022年4月27日
イラスト:えみすけ
文:MSキャビン編集委員
大橋高志、越智博文、近藤誉之、中島一郎、新野正明、宮本勝一、横山和正、中田郷子