多発性硬化症(MS)は脳、脊髄、視神経の病気
多発性硬化症は中枢神経系(脳、 脊髄、視神経)の病気です。英語名はMultiple Sclerosisで、世界的に「MS(えむえす)」と呼ばれています。
発症年齢は20〜30歳代に多く、20歳代に発症のピークがあります。思春期以前あるいは50歳以上で発症することもありますが、比較的まれです。男性よりも女性に2〜3倍多く発症します。患者数は世界的に年々増加していて、国内推定患者数は約18,000人です。
原因は分かりませんが、発症にはいくつかの要因が関与していると考えられています。
遺伝的な要因
発症率は人種間で異なり、欧米人に多く、アジア人には少ない病気です。また血縁者にMSの人がいると、血縁関係の強さに応じて発症率が高くなります。MSを発症しやすくなる遺伝子や、発症しにくくなる遺伝子があることも分かっています。けれどもMSでは特定の遺伝子の異常は認められておらず、一般的にイメージされているような遺伝病ではありません。
環境因子
MSは緯度の高い地域に多い病気です。日照時間や紫外線などの環境因子との関連が指摘されており、日本でも北にいくほど発症率が高くなります。また、熱帯地域に住む人が移住して思春期までを温暖な地域で暮らしたら、MSになりやすくなったという報告があり、その他の環境因子の関わりもうかがえます。
その他の環境因子として、ある種のウイルス(EBウイルスやヘルペスウイルスなど)も注目されていますが、MSを起こす「MSウイルス」といったものは報告されておらず、MSは感染症ではありません。MSの人のそばにいてMSがうつることは決してありません。