MOG抗体関連疾患(MOGAD)

症状

症状は人によって違い、1人の患者さんでもよく変動

MOGADの症状は通常、病巣ができる部分に応じて出てきます。病巣ができる部位や大きさは人それぞれで違うので、症状の出方は人によって様々です。非常に個人差があり、1人のMOGADの人と別のMOGADの人を比べてみた時、同じ病気の患者さんとは思えないことがあります。

さらに1人の患者さんでも、症状は季節や体調の影響でよく変わります。日によって変わることもあります。「昨日は元気そうだったのに、今日は具合が悪そう」といったこともよくあります。

MOGAD全体としてよく見られる症状

MOGAD全体としてよくみられる症状は次のとおりです。いろいろな症状がありますが、1人の患者さんが全てを経験するわけではないこと、そして、ここに解説していない症状もあることをご留意ください。

視神経の症状

「ぼやける」「何となく暗い」「視野が欠ける」「色が分かりにくい」「まぶしい」など。目の中や目の奥、目の周辺が痛くなることもあります。特に目を動かした時に目の奥が痛くなることが多いです。片目にも両目にも起こる可能性があり、初発は重症なことが多いです。

成人では視神経の症状が多く、成人MOGADの60〜70%で起こるといわれています。

脊髄の症状

「力が入らない」「歩けない」「立てない」「起き上がれない」など。初発は重症なことが多いです。

「しびれる」「ビリビリ痛い」などの感覚障害が出ることもあります。温覚、冷覚、痛覚などが分かりにくくなったり、全ての感覚がにぶくなったりすることもあります。

脊髄の病巣部位に一致して、体幹を帯できつく締められているような痛みが出ることもあり、これを「帯状絞扼感」といいます。また動作をきっかけに、意思とは関係なく痛みを伴って激しいつっぱりが起こることがあり、これを「有痛性強直性痙攣」といいます。

その他、首を前に曲げると、腰から足にかけてしびれが走る「レルミット徴候」が出ることもあります。

「トイレの回数が多い」「急にトイレに行きたくなる」「尿が出にくい」「漏らしてしまう」「尿を出し切った感じがしない」などの排尿障害の頻度が高いです。便秘・便失禁などの排便障害が起こることもあります。

脳幹の症状

物が二重に見える複視、めまい、嘔気などの症状がみられることがあります。

大脳の症状

主な症状は意識障害(ぼーっとしている、意識が朦朧としているなど)、けいれん、体の片側だけ麻痺する片麻痺、両目の同じ側の視野が欠ける同名半盲などが見られます。特に小児において、けいれんを起こすことがあります。

疲 労

「歩き始めは好調だったのにすぐに足が重くなる」「長時間文字を書き続けられない」など。同じ動作を繰り返すとその部分が疲れてきて上手く動かせなくなってきます。また、気温や運動量、ストレスの有無などにかかわらず「急にエネルギーが切れて動けなくなる」と表現されるような、どうしようもない全身倦怠感を経験することもあります。

その他

体温が上がると、視力低下やしびれなどの感覚障害、筋力低下などのMOGADの神経症状が一時的に悪化することがあります。これは「ウートフ現象」と呼ばれ、体温が下がれば症状は回復します。MOGADでこのような現象があれば、それはウートフ現象かもしれません。

また、性機能が障害されることがあります。MOGADが直接の原因で妊娠できなくなることはありません。