NMOSDは自己免疫疾患の1つ
人間の体は「免疫系」によって細菌やウイルスなどの外敵から守られています。免疫系には数百万から数千万、あるいはそれ以上の数の細胞があり、ネットワークを組んで働いています。
この免疫系に何らかの異常が起こり、自分の体の細胞やタンパク質を外敵と見なして攻撃してしまう病気があります。このような病気を総称して「自己免疫疾患」といいます。NMOSDもこの自己免疫疾患だと考えられています。
「アストロサイト」にある「アクアポリン4」が攻撃される

中枢神経系の神経細胞は「アストロサイト」という細胞に支えられています。アストロサイトは血管と神経細胞をつなげ、血液から神経細胞に必要な物質を供給しています。このアストロサイトは血管と「足突起(そくとっき)」と呼ばれる部分でつながっています。この足突起には「アクアポリン4(AQP4)」という、水を細胞に出し入れする通路を形作るタンパク質が豊富に存在しています。
NMOSDはこのAQP4が、自分の免疫によって攻撃されてしまうことによって起こります。AQP4が攻撃されるとそこに炎症が起こり、炎症はアストロサイト全体、時に神経細胞にまで広がります。そうするとアストロサイトは機能しなくなり、神経細胞は死んでしまいます。攻撃によって組織が破壊された部分を「病巣(びょうそう)」または「病変(びょうへん)」といいます。
AQP4を攻撃しているのはAQP4抗体
NMOSDでは血液中に「アクアポリン4抗体(AQP4抗体)」という「自己抗体」が流れていることが分かっています。このAQP4抗体がAQP4を敵と見なして攻撃してしまいます。NMOSDではない人には通常この抗体はありません。
NMOSDでなぜAQP4抗体が作り出され、なぜ攻撃を始めるのかは分かっていません。