視神経脊髄炎(NMOSD)

病気の起こり方

自己免疫疾患の1つ

人間の体は「免疫系」によって細菌やウイルスなどの外敵から守られています。この免疫系に何らかの異常が起こり、自分の体の組織を外敵と勘違いして攻撃してしまう病気があります。このような病気を総称して「自己免疫疾患」といいます。どの臓器・細胞が攻撃されるかによっていろいろな病気があります。

NMOSDもこの自己免疫疾患だと考えられています。攻撃対象は脳、脊髄、視神経の神経細胞を支えているアストロサイトです。

アストロサイト:「足突起(そくとっき)」と呼ばれる部分で血管と神経細胞をつなげ、血液から神経細胞に必要な物質を供給。

病気を起こしているのはアクアポリン4抗体

アストロサイトの足突起には「アクアポリン4(AQP4)」という、水を細胞に出し入れする通路を形作るタンパク質が豊富に存在しています。

NMOSDでは血液中に、自身を攻撃してしまう「自己抗体」の一種である「アクアポリン4抗体(AQP4抗体)」が存在していることが分かっています。このAQP4抗体がAQP4を敵と見なして攻撃してしまいます。その際、「補体」と呼ばれるタンパク質が活性化することが分かっています。

NMOSDではない人には通常、AQP4抗体はありません。NMOSDでなぜAQP4抗体が作り出され、なぜ攻撃を始めるのかは分かっていません。

アクアポリン4が攻撃されると

AQP4が攻撃されるとそこに炎症が起こり、炎症はアストロサイト全体、時に神経細胞にまで広がります。そうするとアストロサイトは機能しなくなり、神経細胞は死んでしまいます。

NMOSDでは、AQP4への攻撃が脳、脊髄、視神経のあちこちに、繰り返し起こります。攻撃によって組織が破壊された部分を「病巣(びょうそう)」または「病変(びょうへん)」といいます。
(2023/10/13更新)