多発性硬化症(MS)

指定難病医療費助成

多発性硬化症(MS)は、条件を満たせば「指定難病の医療費助成」を利用できます。
助成を受けると、自己負担は2割(もともと1〜2割の人はそのまま)、さらに月ごとの上限額が設けられ、それを超えた分は免除されます。

診断されたばかりで不安な中、医療費のことも気になりますよね。
このページでは、今すぐ確認できるポイントを整理しています。

このページでわかること
自分が助成の対象になるかどうか
申請の流れ
いつから助成が適用されるか

助成の対象になるかどうか

まずは、自分がどちらに当てはまるかを確認してみましょう。

多発性硬化症の医療費助成における軽症高額の申請条件

■ 自己負担上限額について
上限額は所得などによって異なり、月0円〜30,000円の範囲で設定されています。
上限が決まっているため、それを超えた分は免除されます。
最新の上限額一覧は、難病情報センターのページをご確認ください。

重症度分類を満たすとはどのような状態?

重症度は、医師が一定の基準にもとづいて評価します。
次の①②のいずれかに当てはまる場合、「重症」と判断されます。
実際の評価は主治医が行いますので、診察の際に相談してみてください。

①EDSS-4.5以上
EDSSとは医師が評価する障害の程度の指標です。EDSS-4.5以上とは、
「自力で歩けるのは300m程度」の身体障害がある状態、
あるいは片方の目に高度の視力障害(0.2以下)があり、
日常生活に最小限の補助が必要な状態です。

②視覚:良いほうの目が下記の状態
II度:矯正視力0.7以上、視野狭窄あり※
III度:矯正視力0.7未満、0.2以上
IV度:矯正視力0.2未満
※視野狭窄あり:中心の残存視野がゴールドマンI-4指標で20度以内

軽症高額該当とは?

症状が軽い場合でも、医療費が一定額を超えていれば申請できます。
MSに関わる医療費の領収書を確認してください。

  • MSに関係する医療費の総額が33,330円/月を超える月が
  • 過去1年間のうちに3回以上あること

「過去1年間」は、申請する月からさかのぼって数えます。
この条件を満たしている場合は、新規申請で医療費助成を受けることができます。

多発性硬化症の医療費助成における軽症高額該当の申請条件

■ 「医療費総額」とは
この制度では「医療費総額」という言葉がよく出てきます。
これは、窓口で支払う1〜3割の金額ではなく、健康保険が負担している分も含めた医療費の総額(10割)です。
たとえば、医療費総額が33,330円の場合、3割負担であれば窓口で支払う金額は約1万円になります。

申請の流れ

ここからは、実際の手続きの流れです。

  1. 条件を確認する
    (重症度分類を満たすのか、または軽症高額該当なのか)
  2. 住所地を管轄する健康福祉センター(保健所)などに問い合わせる
  3. 必要書類を提出する
  4. 審査後、「医療費受給者証」が交付される
    (申請から交付まで約3カ月程度)

受給者証と一緒に「自己負担上限額管理票」という紙の手帳も届きます。
MSで医療機関や薬局を受診した際は、この手帳に医療費総額と自己負担額を記載してもらい、月の累計を管理します。
自己負担上限額に達した後も、記載を続けてもらってください。

いつから助成が適用されますか?

認定の基準によって異なります。

  • 軽症高額該当の場合:基準を満たした日の翌日から適用されます。
  • 重症度分類を満たす場合:指定医が重症と判断した日から適用されます。
    (原則、申請から最大1カ月、やむを得ない場合は最大3カ月までさかのぼり可能)
  • 受給者証が届くまでの間に支払った医療費は、自己負担限度額を超えた分が後から還付されます。
複数の病院を受診した場合、医療費は合計されますか?

合計されます。指定医療機関であれば、複数の医療機関や薬局の医療費をまとめて上限額を管理できます。

薬局の薬代も含まれますか?

含まれます。MSの治療に関係する薬であれば、薬局での支払いも対象です。

高額かつ長期とは?

ここからは、軽症高額該当とは別の基準です。

助成の認定を受けた後も医療費が高額な状態が続く場合、「高額かつ長期」という区分に変更申請できます。この区分になると、自己負担上限額がさらに低くなります。

条件は次のとおりです。

  • MSに関係する医療費の総額が50,000円/月を超える月が
  • 年間6回以上あること

※ここでの「医療費総額」も、健康保険・指定難病医療費助成が負担している分を含んだ合計額です(たとえば総額50,000円の場合、2割負担なら窓口での支払いは約1万円)。

変更申請の窓口は、住所地を管轄する健康福祉センター(保健所)などです。

多発性硬化症の医療費助成で高額かつ長期に該当する申請条件

注意点

医療費助成が使えるのは、都道府県・指定都市から指定を受けた「指定医療機関」(病院・診療所、薬局、訪問看護ステーションなど)に限られます。
受給者証を使う前に、受診先が指定医療機関かどうか確認しておきましょう。

不明な点は、住所地を管轄する健康福祉センター(保健所)などへお問い合わせください。

登録者証について

2024年4月から、指定難病であることを証明する「登録者証」が発行されるようになりました。
医療費助成の対象にならない場合でも取得できる制度です。
→「指定難病登録者証について」

関連動画

神経難病の医療費助成ををテーマに専門家が解説したYouTube動画(2020年公開)
  • 大橋高志(脳神経内科医・鎌ケ谷総合病院)
  • 越智博文(脳神経内科医・愛媛大学大学院)
  • 近藤誉之(脳神経内科医・関西医科大学総合医療センター)
  • 中島一郎(脳神経内科医・東北医科薬科大学)
  • 新野正明(脳神経内科医・北海道医療センター)
  • 宮本勝一(脳神経内科医・和歌山県立医科大学)
  • 横山和正(脳神経内科医・東静脳神経センター)
  • 協力:東京女子医科大学八千代医療センター医療支援室

2026年2月23日(全体を改訂)
2024年8月22日(全体を改訂)
2015年3月19(新規公開)

監修:MSキャビン編集委員
出典:MSキャビン「MSのあらまし:指定難病医療費助成」
URL:https://www.mscabin.org/ms/msiryohi/
(最終更新日:2026年02月23日)