こちら東京は秋を感じる日が増えてきました。朝晩の気温差にも注意したいですね。掛け布団もそろそろ秋仕様にしようか、悩んでいるところです。
気温だけでなく天気もコロコロ変わる季節。こうした気候の変化についていくのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
気候の変化に伴う3疾患の症状
多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMOSD)、MOG抗体関連疾患(MOGAD)では、気候の影響で症状が変動することがあります。
MSでは症状がよく変動します。症状の変動は気候や体調、ストレス、体温の急な変化などで起こりやすく、自律神経の働きの乱れが関わっていることもあります。MS自体が悪くなっているわけではありません。
「多発性硬化症完全ブック第5版」161ページより
この内容はNMOSDやMOGADにも当てはまります。中には台風が近づく前から症状が悪くなるなど、特に気候に敏感な方もいます。
症状は、しびれや脱力のほか、つっぱりや疲労感の増強、意欲の低下なども見られることがあります。ただし疲労感や意欲の低下は、3疾患に限らず誰でも起こり得るため、どこまでが病気の影響か線引きできない場合もあります。
再発との違い
症状が変動すると「再発では?」と心配になるかもしれません。詳しくはこちらをご覧ください。
→MSの再発(多発性硬化症)
→NMOSDの再発(視神経脊髄炎)
→再発が疑われる時(MOG抗体関連疾患)
一般的には「24時間以上続くかどうか」が目安になります。ただし、これは1つの目安と捉えてください。というのも「雨の日が続いている間中は症状の変動がずっと続き、数日後に過ごしやすい天気になったら症状が改善する」といったことがあります。症状の変動が続いている間は何となく再発に当てはまりそうなのですが、天気の回復と共に症状も改善されているので、このような経過は再発ではありません。
これまでどうだったかを振り返ってみるのもいいかと思います。「初発はこうだった」「再発はこうだった」「再発かと思ったけど違った」など、自分の経験を振り返るとパターンが見えてくるかもしれません。
症状の記録は、専用のアプリを使うと便利です。アプリストアで「体調記録」「症状記録」「ヘルスケア」などと検索すると、さまざまなものが出てきます。ご自身に合ったアプリを試してみてください。日記アプリやスマホ標準のヘルスケア機能を使うのも1つの方法です。
対処法
気候で症状が変動する時は「無理をしない」「休む」が基本です。仕事を休めない場合でも、可能な範囲で休憩を取りながら過ごすことが大切です。
また、しびれや痛みなどが特定の時期に強く出る場合は、その時期だけ薬を使う・増量するといった対応もあります。必ず主治医に相談してください。対症療法の薬についてはこちらをご覧ください。
→治療(多発性硬化症)
→治療(視神経脊髄炎)
→治療(MOG抗体関連疾患)
それともう1つ。過ごしやすい日には秋を楽しむことも大切にしたいところです。3疾患とも「してはいけないこと」は特にありません。ウォーキング、水中歩行、ヨガなど、疲れすぎない程度の運動を取り入れるのも良いでしょう。
症状とうまく付き合いながら、秋を楽しめますように。
- 大橋高志(脳神経内科医・鎌ケ谷総合病院)
- 越智博文(脳神経内科医・愛媛大学大学院)
- 近藤誉之(脳神経内科医・関西医科大学総合医療センター)
- 中島一郎(脳神経内科医・東北医科薬科大学)
- 新野正明(脳神経内科医・北海道医療センター)
- 宮本勝一(脳神経内科医・和歌山県立医科大学)
- 横山和正(脳神経内科医・東静脳神経センター)
2025年9月22日更新
2024年10月7日更新
2023年10月4日公開
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