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特別ブログ「3疾患と雨のシーズン」

関東も梅雨に入りました。この時期は普段よりも調子が悪い、という患者さんもいるのではないかと思います。

特に痛みやしびれ、脱力感などは、体調や気候などの影響で変動することが多いです。「疲れがたまって症状が強くなってきたが、数日ゆっくりしたら元に戻った」「雨が続くとしびれがひどくなるが、晴れたら元通りになった」などよく聞かれます(多発性硬化症完全ブック第4版視神経脊髄炎完全ブック第1版より)。

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再発かも?と思ったら

症状が変化すると、病気が再発したのか心配になりますよね。その変化は前述した体調や気候によるものかもしれませんし、または残念ながら再発かもしれません。

症状が変化した場合は基本的に「まずは少し様子を見て、回復しそうになかったら主治医に連絡」という流れになります。こちらのページが参考になるかと思います。
再発が疑われる時(多発性硬化症)
再発が疑われる時(視神経脊髄炎)
再発が疑われる時(MOG抗体関連疾患)

YouTubeでも解説しています。
多発性硬化症いろいろ(18分)

ゆっくり快適に過ごす

調子が悪いなと感じるときは、できるだけ無理をしないでほしいです。あまり予定を詰め込まない、いつもよりペースを落としてゆっくり過ごす、良質な睡眠を確保するなど心がけてください。

また3疾患とも、体温が上がると症状が一時的に悪くなる「ウートフ現象」があります。暑い日は我慢しないでエアコンや扇風機で快適な室温を保つようにしてください。電気代は気になりますが、ウートフ現象を我慢するのもつらいです。また、脱力や視力の悪化などによって転倒してケガをしてしまったら大変です。

ウートフ現象についてはこちらをご覧ください。
症状(多発性硬化症)
症状(視神経脊髄炎)
症状(MOG抗体関連疾患)

これからはチャリティTシャツ「キャビT」がきっと大活躍。通気性抜群で汗もすぐに乾いてオススメです。私はすでに毎日着用しています!

外出の際には転倒に注意

雨の日は路面が濡れています。歩行困難の症状がある場合は特に、滑って転ばないように注意してほしいです。状態によっては杖の使用も考慮してください。

けれどもその杖。リュックサックを背負ったとしても、杖を使って傘を差すと両手が塞がってしまうんですよね。これに対して、体やリュックサックのストラップに固定できるような傘やグッズが販売されています。「傘保持ベルト」「ハンズフリーアンブレラ」などで検索できます。

ただ私自身、このようなグッズを使ったことはなく、使っているという話を聞いたこともありません。もし使っている方がいたら、ここでシェアさせていただきたく、使用感など教えてほしいなと思っています。(「お問い合わせ」からお願いします!)

あと、風が強いときは、傘が風にあおられて転倒につながってしまうことがあります。そのような日はレインコートを着用したほうが安全かもしれません。

そもそも雨の日は外出を控えたほうが…って話もありますが、そうも言ってられないときもありますよね。タクシーを利用するのか、みなさんどうしてるでしょうか。あと、転倒防止のために杖や歩行器を使う場合、正しい使い方を習得するため一度、理学療法士に相談できるかどうか、主治医に聞いてみてください。

雨の日の外出(シェアありがとうございます!)

◉リュックを背負ったまま着れる、背中にゆとりがあるレインコートを、風の強い日の傘代わりに使ってます。ランドセルを背負う小学生用で、身長160センチサイズのです。顔部分が透明ビニールになってて、フードを深くかぶっても視界が確保できます(Andieさんから)。

◉杖先のゴムを、滑りにくいタイプに変えておくのもおすすめです。福祉用品や杖の専門店なら、このあたりの話に詳しいと思います(Andieさんから)。

薬で緩和できることも

痛みやしびれなどは、薬で軽減できることがあります。つらい時期だけ服用することもできるので、主治医にご相談ください。どのような薬が使われるかは、こちらをご覧ください(それぞれページ真ん中よりちょっと下)。
治療(多発性硬化症)
治療(視神経脊髄炎)
治療(MOG抗体関連疾患)

これら痛みやしびれの薬は、市販の痛み止めと違って、服用してもすぐに効果が現れないことが多いです。数日〜数週間は様子をみながら、用量を調節したり種類を替えたり増やしたりしていきます。服用後の症状の変化を観察して、主治医に報告するようにしてください。

YouTubeでも解説しています。
NMOSDの日2020 ②座談会 – 痛み対策(7分弱)

ご自身を責めないでください

脱力感などの症状がひどくなると「自分がしっかりしていないせいだ」「気合が足りないせいだ」「怠けているからだ」などと考えてしまうことがあるかもしれません。また「梅雨の時期はみんな調子悪くなるもんだよ」と、軽い感じで言われることもあるかもしれません。

けれども最初に書いたように3疾患とも、症状は体調や気候などの影響で変動することが多いです。これを忘れないように、決してご自身を責めないようにしてほしいです。

不安になったらSNSに参加してみるのもいいかもしません。Twitterでは基本的に毎週金曜日20:30から、Boss先生とスペースを開催しています。リアルタイムで寄せられる数々の悩み事について、参加者と先生と共有することができます。

また情報誌バナナチップスPlusの「日常生活」では、病気と付き合う上で役立てていただけるようなお話を掲載しています。みんなでこの時期、何とかうまく乗り切っていきたいですよね。

乗り切ったら乗り切ったで、あの灼熱の真夏がやってきますが..。

暑い日の過ごし方についても、またこういったブログ特集などで取り上げていきたいと考えています。(文:中田郷子 編集委員監修済)

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