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特別ブログ「仲間の体験談」

今年もあと1カ月を切りました。徐々にクリスマス・年末の雰囲気が増していくんだろうなと思っています。ずいぶん日も短くなってきましたよね。

この2022年も多くの出会いがありました。SNSでもフォロワーさんが増えて、いろんな人のお話を伺う機会が増えています。3疾患とも患者数が少ない病気。こうしてやり取りできるのって、貴重だなと思っています。いつもありがとうございます。

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病気のことを話せる・聞ける機会は少ない

多発性硬化症(MS)の国内推定患者数は18,000人、視神経脊髄炎(NMOSD)は6,500人、MOG抗体関連疾患(MOGAD)は1,700人くらいだといわれています。
MSのあらまし「多発性硬化症とは」
NMOSDのあらまし「どのような人に多いか」
MOGADのあらまし「どのような人に多いか」

患者数は少ないですよね。NMOSDとMOGADは特に。同じ病気の人は周りにはめったにいないと思います。病名を伝えても「知らない」と言われることがほとんどなのではないでしょうか。

そうすると、生活の中で病気のことを話せる機会もなく、他の人の話を聞ける機会もなく、たぶん多くの人が、ネットで同じ病気の人の話を探し、それに触れているのではと思います。

もう30年近く前のことなりますが、私もMSと診断された時、情報をできるだけ集めて同じ病気の人の話を読み、この人はこういう症状なんだなとか、こういう治療を受けているんだなとか、参考にさせていただきました。MSの患者数は4,000人台。キャビンを始める前の話です。

とある集まりで女性に言われたこと

診断されて間もない当時で、今も鮮明に覚えていることがあります。

とある患者の集まりに参加した時のこと。私はまだ20代前半で、会場に入ると50代くらいの車椅子の女性が近寄ってきて、ニッコリこう言いました。

「元気そうね。私もあなたくらいの時は、そんな感じだったのよ」

褒められているのか何なのか複雑な気持ち。年を重ねたらこの人のようになっていくのかな、車椅子生活になるのかな、と思いました。ですが、そろそろ私もその人と同じくらいの年齢になりますが、車椅子生活ではありません。

今と昔とでは診断・治療環境が全く違うから、この時の話と今を同じには語れないです。でも「個人差を理解する」という点は、今も昔も変わらないと思います。

そう、同じ病気の人の話に触れる時には、この個人差を始め、ちょっと注意が必要だったりするんです。

頭に入れておきたいこと

注意点はいくつかありますが、SNSや個人のブログなど、病気の体験談に触れる時は、最低でも次の3つだけは頭に入れておくといいかなと思います。

①個人差を理解する

3疾患とも、個人差が大きい病気です。症状の出方も治療の反応性も病気の経過も、人によって違います。同じ病気でも全然違う病気のように見えることもよくあります。個人差があることは常に、覚えておいてほしいです。

病名を確認する

2004〜2005年頃、MSからNMOSDが枝分かれしていきました。そして近年、MOGADも分かれつつあります。そういう歴史があって、今でも3疾患を一緒に扱うことが多いのですが(うちもそうですが)、3疾患とも別の病気です。その体験談が何の病気の話なのか、確認するようにしてください。

③主治医への相談を最優先に考える

体験談はその人個人の体験です。病気の理解や認識も、その人の主観が入っていることがあります。体験談はあくまでも参考程度にして、ご自身の病状に関することは、主治医と相談することを最優先に考えてください。同じ立場ではあるものの、病状や治療など大事なことを、他の人とのやり取りだけで解決することは避けてほしいです。

終わりに

同じ病気の人の話は、病気との付き合い方の参考になりますし、励みにもなると思います。いちいち説明しなくても分かり合えて楽ですし、やり取りを重ねていくと、1人じゃないって思えますよね。

どれも日本では少ない病気だけれど、仲間がいます。その仲間が発信してくれている大事な体験談。読む側としても、上記3つに注意しながら大切に触れていきたいです。

今月は恒例のフォーラム。何人の仲間が集まってくれるかなと想像しています☆
(文:中田郷子 編集委員監修済)

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