情報誌のご案内

最新号 | 137号(2025年10月29日発行)

多発性硬化症(MS)・視神経脊髄炎(NMOSD)・MOG抗体関連疾患(MOGAD)の情報誌「バナナチップスPlus」最新号(第137号・2025年秋号)を発行しました。
電子版はこちらです

目次

  • 特集:MS・NMOSD・MOGADと感染症
    近藤誉之先生/関西医科大学総合医療センター
  • 医療相談(MS):MRIでは測れないMSの変化
    千原典夫先生/神戸大学医学部附属病院
  • 医療相談(NMOSD):エンスプリング®と体調の観察
    岡本智子先生/国立精神・神経医療研究センター病院
  • ニュース(MS):急性期のステロイド ー経過への影響、光干渉断層計による進行予測の可能性
  • ニュース(NMOSD):NMOSDにおける重症感染症の調査9割以上が頭痛を経験 —イランからの報告
  • ニュース(MOGAD):診断基準・専門医の再評価で精度98%に —イタリアから、MOGADの経過は単相性または再発型 —MSとの比較研究から
  • おくすりのこと:B細胞を標的にした薬
    星野泰延先生/順天堂大学医学部附属順天堂医院
  • 単語:再発
  • 寄稿:EBウイルスと多発性硬化症の関係
    芦田真士先生/京都府立医科大学 脳神経内科学
  • 知恵袋:どうやって体力を付けたらいい?
  • みんなのストーリーズ:知識を力に未来へ歩む(MS)、気持ちの変化を越えて(NMOSD)、息子と共に越えてきた日々(MOGAD)
  • 日常生活のおはなし:コロナ・インフルエンザ対処法
  • ドクター・インタビュー:広い視野で、一人ひとりに合った治療を
    渡邉 充先生/九州大学病院
  • ひみつさんレシピ:イワシとまいたけの和え物、サバ味噌煮缶とまいたけのチーズ焼き
  • オンライン版限定記事:昔とは違う今 —いろんなことに挑戦できる(MS)、NMOSDは進行しないって本当?(NMOSD)、受診頻度はどのくらい?(MOGAD)
Banana Chips Plus 137号 表紙(MS・NMOSD・MOGAD)
137号 表紙
Banana Chips Plus 137号 目次(MS・NMOSD・MOGAD)
137号 目次

今号も、医療の専門家の解説と、日常に寄り添う記事をまとめました。
その「見どころ」をいくつかご紹介します。

特集 | MS・NMOSD・MOGADと感染症

これからの季節は、コロナウイルスやインフルエンザなどが気になる時期です。

そこで特集では、「MS・NMOSD・MOGADと感染症」を取り上げました。MS・NMOSD・MOGADの患者さんにとって、どのようなリスクや注意点があるのかを、関西医科大学総合医療センター 脳神経内科近藤誉之先生が、専門医の視点から丁寧に解説しています。

先生は、かかりやすさは一人ひとり異なり、年齢・生活習慣・日中の活動度・身体の状態・併存症(合併症)など、さまざまな背景が関係すると述べています。
さらに、使用している治療薬によっては特定の感染症に注意が必要な場合もあり、その対策を知ることが重要だと説明しています。

さらに、臨床試験で報告される感染症と、実際の診療現場で見られる感染症の傾向は必ずしも一致しない点を挙げ、「患者さんの背景の違いや報告の偏りが影響している」と解説。
具体的な事例を示しながら、報告データをどのように読み解けばよいかをわかりやすく解説しています。

MS・NMOSD・MOGADと感染症の関係を、科学的かつ実践的な視点で整理した記事。
これまでにないほど充実した内容となっています。

特集:MS・NMOSD・MOGADと感染症|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 特集 | MS・NMOSD・MOGADと感染症

医療相談(多発性硬化症)| MRIでは測れないMSの変化

診察で「MRIの変化はありません」と言われても、筋力や歩行機能が少しずつ落ちていく…。
多発性硬化症(MS)では、このような変化が起こることがあります。MRIで新たな病変が見つからなくても、病気がゆるやかに進むことがあります

神戸大学医学部附属病院 脳神経内科千原典夫先生は、こうした症状の変化の背景には、いくつかの医学的な要因が関わっている可能性があると説明します。
さらに患者さんができる大切なことは、「日常生活で感じる小さな変化を主治医に伝えること」だといいます。

また、変化が見られたときには、リハビリテーションも重要な対応策です。適切な運動やリハビリは、体力維持や生活機能の改善に役立つと説明しています。

ご自身の体調や動きの変化に気づき、主治医と共有することが、病気と向き合う第一歩となります。

医療相談(MS):MRIでは測れないMSの変化|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 医療相談(MS) | MRIでは測れないMSの変化

医療相談(視神経脊髄炎)| エンスプリング®と体調の観察

NMOSDの再発予防薬のエンスプリング®には、感染症にかかっても発熱などの症状が出にくいという特徴があります。そのため、罹患しても気づかないうちに重症化するおそれがあり、体調の変化を早めに察知し、医療機関で診てもらうことが大切です。

でも、ちょっとした変化でも都度、受診しなければならないのでしょうか。

これについて国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経内科岡本智子先生は、軽い感染と重い感染を区別するためのいくつかの目安を挙げています。

けれども「患者さんご自身で完全に見極めるのは難しい」として、「熱の有無にかかわらず、体調の急な変化や強い不調を感じたら早めに受診することが大切」と強調しています。
普段との違いを感じたら医療機関にご相談ください。

医療相談(NMOSD):エンスプリングと体調の観察|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 医療相談(NMOSD) | エンスプリング®と体調の観察

医療相談(MOG抗体関連疾患)| ワクチン接種はどうすればいい?

MOG抗体関連疾患(MOGAD)の再発のきっかけとして、感染症やワクチン接種などが知られています(→日常生活でできること)。実際に「ワクチンをきっかけに発症・再発したのでは」といったケースもあり、接種すべきか迷う方も少なくありません。

順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科富沢雄二先生ワクチンの一般的なメリットとデメリットを整理し、MOGADに当てはめて考えることが大切だと説明します。

それをふまえて、「ワクチンが再発のきっかけになる可能性」と「感染が再発のきっかけになる可能性」の両方を挙げています。
接種・非接種のどちらかを推奨するのではなく、患者さん一人ひとりが冷静に考えを整理できるような内容となっています。

医療相談(MOGAD):ワクチン接種はどうすればいい?|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 医療相談(MOGAD) | ワクチン接種はどうすればいい?

おくすりのこと | B細胞を標的にした薬

B細胞はリンパ球の一種で、MS・NMOSD・MOGADのいずれにも関係しています。

順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科星野泰延先生は、「MSではB細胞が病気の進行や再発に関わることが明らかになってきた。一方で、NMOSDやMOGADではB細胞が自己抗体をつくり出して神経を攻撃してしまう」と説明しています。

このB細胞に対する治療薬(B細胞除去療法)は、現在、重要な選択肢となっています。MSではケシンプタ®と、治験中のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬が、NMOSDではユプリズナ®リツキサン®が代表的です。

記事では、これらの薬がどのように作用するのか、また注意すべき副作用についてもわかりやすく整理しています。
B細胞を標的とした治療は、再発を抑えるだけでなく、より安定した経過を目指すための新しい柱となりつつあります。

おくすりのこと:B細胞を標的にした薬(MS・NMOSD・MOGAD)|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 おくすりのこと | B細胞を標的にした薬

知恵袋 | どうやって体力を付けたらいい?

MS・NMOSD・MOGADでは、病気が落ち着いているときに体を動かすことが勧められています
一方で、これらの病気では症状のひとつとして強い「疲労」があり、「動いて力をつけたいけれど疲れて動けない」という悩みを抱える方も多くいます。
そのまま活動量が減ってしまうと、さらに力が落ちてしまうのではないかと不安になることもあるでしょう。

本記事では、日常生活の中で無理なくできる体の動かし方をまとめています。「運動=特別なこと」ではなく、通勤・通学・家事など、日々の動作の中でもさまざまな工夫ができると紹介。
さらに、休養・睡眠・栄養・水分補給のバランスをととのえることも、体力維持に欠かせない要素として解説しています。

大切なのは、自分のペースを守りながらできることを続けること
記事の最後には、読者への励ましを込めた編集委員からのお手紙も掲載しています。小さな積み重ねが、自信を取り戻す一歩になります。

知恵袋:どうやって体力をつけたらいい?(MS・NMOSD・MOGAD)|Banana Chips Plus 137号
バナナチップスPlus137号 知恵袋 | どうやって体力を付けたらいい?

以上、簡単ですが見どころをご紹介しました。

バナナチップスPlusを読むには

バナナチップスPlusは、病気の理解や日々の工夫に役立つ情報をお届けしている情報誌です。
冊子版とオンライン版のどちらでもご覧いただけます。
ご希望の方は、お申し込みページから詳細をご確認ください。

冊子版
年4回お届け・年3,000円(送料込)
手に取って読める安心感。毎号ご自宅へていねいにお届け。

電子版
すぐ読める・年3,000円
スマホ・タブレット・PCで閲覧可能。
バックナンバーもすべて読めます。